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『ん…』




少しいつもより暖かい朝

目が覚めると知ってる匂いに包まれている

その匂いと温もりに身を委ねていると少し引き寄せられてより一層それが濃くなる






「おはようAさん」

『はよ』






2人揃って少し掠れた声、でも聞き慣れた音

こんなにも愛おしかったっけと腕の中で抱かれている自分をもう少しだけ彼の体に押しつけるとそれに応えるように腕もきつく私を締める






『いつ帰ったの』

「朝方」

『大変だった?』

「それなりにね」

『おかえり』

「ただいま」






あぁ、これでやっと日常に戻れる。一ヶ月って長いんだな






私のそばに誰かがいて、その誰かを愛おしいと思っている毎日が日常だなんて昔の私が聞いたらなんと言うだろう。驚いてショック死しちゃうかもしれない。

それくらい私はぬるくなったんだ

いつか消えてしまうこの日常を手放したくないと思うだなんて







『ヒロ君寂しかった?』

「寂しいなんて言葉じゃ足りない位ね」

『子供だねヒロ君は。私がいないとダメなんだ』

「うん。そう」







「Aさんがいないと俺はダメみたい」と優しい声で言うからずるい

胸に埋めてた顔を上げると微笑んでいる。それがなんだか少し大人に見えた







『岸辺さん元気だった?』

「あの人の話しなきゃダメ?」







私が笑うと少しだけ眉を顰めてもう一度私を強く抱きしめる

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作者名: | 作成日時:2022年12月7日 17時

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