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依頼された仕事を終えスマホのロック画面を見ると今日だった昨日は翌日の今日になっていた
「…はぁ」
暗闇の中、ため息をついたのは仕事で疲れたからではない
時間表示しかされていないスマホの画面は程なくして暗くなると自分の顔が写った
彼女からの連絡は全くない。一件たりともだ
もう一度ロック画面を開いてから上にスワイプしてアプリを開くと地図上に赤い矢印が立つ。そこを拡大すると、とある大衆居酒屋でまた男はため息をつく
「ホテルじゃないだけマシか」
足を進め暗い電灯の道を歩くと次第に明るくなっていき同時に人の声で賑やかとなる
「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
「いえ、友人たちが先に来てるんですけど。この店で一番うるさくしてる連中のところですね」
目的地の店に入るとガヤガヤと煩い店中に響き渡る一段と目立っている男女の声
店員は苦笑いしながら案内する
「こちらのお部屋ですね」
「どうも」
個室のドアを開けると盛り上がってる男女は一瞬黙り一斉にこちらを向いた
「え、誰?」
「何?あんたたちの知り合い?超イケメンじゃん!!」
「はぁ」
見渡すまでもなく彼女を見つける
見知らぬ男の方に寄りかかっては肩に頭を乗せて寝ていた
「その人を迎えに来ただけなので気にしないでください」
鼻の下を伸ばしてヘラヘラしてる男の元に行き彼女を引っ張ると少しだけ目が開く
潤ませた瞳、こいつら全員にそれを見せたのかと思うと手に力が入る
『ん…ヒロくん?』
「帰るよAさん」
『やだ、まだ飲みたい』
「ダメ」
少しだけ抵抗する彼女を抱き上げてテーブルに何枚か札を置く
「彼女が迷惑かけてすいません。じゃぁさよなら」
後ろから声が投げかけられるがそんなのどうでもよくて大股で店を出る
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作者名:要 | 作成日時:2022年12月7日 17時