【QK】十人十色【短編集】 (ページ31)

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ずるい人 izw ページ31

izw side

俺の想い人はとてもとてもずるい人だ。

俺の事を好きなような言動や行動を取っておいて

俺が追うと逃げるのだ。

都合のいい男にされてない？

分かってるんだけど、それでも離れることが出来ないんだ

急に着信音がなる

｢はい｣

『伊沢拓司～呑みに行こうか』

｢またですか Aさん｣

『行きたくないなら別の人誘うからいいよ伊沢と行きたかったんだけどな』

｢、、行きたくないとは行ってないっす｣

『んもー素直じゃないなぁそういう所も可愛いんだけどさ～』

｢はいはい、Aさんのそのネタいつ飽きるんですか｣

『ネタじゃないよ～冷たいなー冷たくしーだな～』

｢なんすかそれ、、ほら行くならもう俺オフィス出たんで例の居酒屋集合でいいですか？｣

『うん！先着きそうだし入って待ってるね～』

ﾌﾟﾂｯﾂｰﾂｰﾂｰ

はぁ、、こうやって俺の事振り回すのいつになったら辞めてくれるんだろう

俺の好意にあの人が気づいていないわけないのに。

分かっていながらやってるんだからタチが悪い。

それに、呑みの誘いの時の話はいつも同じ。

気が乗らんなぁ、、

ブツブツ言いながらも待ち合わせ場所に着く。

店員さんに案内されると先に飲んでいる彼女

｢お疲れ様です｣

『ん～お疲れ様』

俺もいっぱい頼んだところでいつものように聞く

｢で、今回はどんな振られ方したんすか｣

『まだ振られたって言ってないじゃん！！！振られたけど、、』

彼女はグイッと一気飲みするといつもと同じように愚痴を始める。

1度だけ、俺にしたらって言おうとした。

だけど彼女は言わせてくれなかった

『私には伊沢が必要なのあなたまで居なくなろうとしないでよ』

いなくなるつもりなんて全くなかっただが、彼女がそう感じるなら俺は聞き役に徹するしかない。

あー、ずるい人だ。

こんなに俺の事縛っておいてあなたのものにもしてくれないなんて。