マジックアワーにおねがい！

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誕生日を迎えた21歳の夏。




と「事故現場行くか…」



『事故現場に未練あるかなぁ？』



と「まぁなんでもいいから、気持ちよく成仏できた方がいいだろ。」



『と、としみつ…お前……』



と「俺のためにもな」



『ひどい。』




俺のためにもな、と言っておきながら成仏したら嫌だなって思う俺もいる。


未練タラタラなら未練タラタラでいいじゃんか、


このまま俺と一緒に歳とって、俺がジジイになるまで若いままのお前でいてくれたらいいじゃんか、





と「えっ怖、」



『なに？』



と「なんにもない……」



なんか今心の中でプロポーズしてなかったか？！？！


読まれてないよな？！



『あ、ラーメン食ってないのが未練かもな…』



読んでないな。(笑)






事故現場には寄り付かなくなっていたけど、事故から1年が経とうとしている今でも道路沿いの歩道にはたくさんの花束が置いてあった。



『これ持って帰りたい！』



と「やめなさい(笑)」



『これ、なんだろう。』



と「なに？」




なんか見つけたのかと思って近寄ると、花束の中に手紙が置いてあった。



Aが手に取ろうとするので焦ってそれを手に取る。



と「お前が持ったら手紙が浮いてるように見えんだよ！！気をつけろよ！！」



『あ、そっか、ゴメンゴメン☆』



と「ったく…これ公園のベンチで読むぞ」



『うん。』






青い封筒の中に入っていたのは、ひっちゃかめっちゃかな文字で書かれた手紙だった。


拙い文体にめちゃくちゃな文字。



と「ボールをどうろにだしてしまってごめんなさい。ぼくをまもってくれて、ありがとうございます。」



『ああ、あのときの男の子だ。私が助けた男の子。』





ペラっと裏をめくると住所が書いてあった。


お供えに住所って(笑)


まるでAが幽霊になって行くことが分かってるみたいじゃないか。




と「行く？」



『うん、行きたい。』




未練っていうのはなかなか悪いものじゃないかも、とこの頃思い始めた。

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