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本棚の奥に。9 ページ11

季節はあっという間に過ぎていく。


なんだかんだいってもう9月になっているのだ。


「わかばーふぁいおーふぁいおー」


1列に並び、ランニングをする。


うちの学校の陸上部はそんなに厳しくなく、活動日も少ないから、僕にはぴったりだった。


軽くダッシュを数本流し、放課後の練習は終わった。


「いつきーお疲れさん」


拓真が声をかけてきた。


結局拓真も僕についていく形で陸上部に入部した。


ってより、


「お、さ、西園寺センパイ!お疲れっす!」


……陸上部のマドンナ?ヒロイン?


そんな存在の西園寺優香先輩目当てだ。多分。


「お疲れ、拓真くん!ダッシュ、スタートの飛び出しよかったね!」


「あ、あざます!」


拓真が気持ちを隠しきれてないのには苦笑しかない。


鞄から汗を拭くタオルを取り出して、額を拭った。


「拓真」


「ん?」


「拓真はさ」


「おう」


拓真が水を飲みながら応える。


「西園寺センパイが好きなの?」


「ごぶふぇっっ」


拓真は思いっきりむせた。


「ごほっ…んんっ…な、なに言うんだよ急に…」


「あれー?拓真くーん?顔赤いじゃーん」


ちょっとからかってやったりもする。


「そういう樹くんはどーなんですかー!」


「え?僕?」


「えー、好きな子くらいいるだろ!」


うっ……形勢逆転。


「い、いないし…」


そもそも僕はクラスの女子とあまり話さない。


話したとしてもそんなに仲良くなるわけでもなく。


「じゃあ、気になる子は?!」


……K。


思いついたのは、彼女しかいなかった。


「いる……かもな」


「お、それは!こ・い・の・は・じ・ま・りじゃねっ?」


「こいのはじまりかぁ……っては?!お前何言ってんだよ!」


Kに恋なんて。


「またまたぁー!照れちゃってぇー!」


「………」


会ったこともない人に恋なんて。


するわけない。


「Kを好きになる」なんて。


あるわけない。きっと。


「…?樹?どーした?固まってるぞ」


「ん?ああごめん」


心の片隅に、何かが引っかかっていた。

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設定タグ:中学生 , オリジナル , 図書室   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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* *花菜**(プロフ) - かぐやさん» 置いたら怒られちゃいますかね?笑 リクエストありがとうございます!西園寺さん視点、書いてみます! (2018年5月4日 20時) (レス) id: 71d0a5c15e (このIDを非表示/違反報告)
かぐや(プロフ) - 私も交換日記図書室に置いてみようかな…と真面目に思いました笑リクエスト?で、西園寺さん視点も読んでみたいです!あ、お時間あったらで大丈夫なので…!頑張ってください! (2018年4月14日 19時) (レス) id: f6494d153c (このIDを非表示/違反報告)
* *花菜**(プロフ) - 美桜リバティ??@いちごみるく革命団 ペアネ画中さん» ありがとうございます!図書室好きな人に読んでいただけて嬉しいです! (2018年3月27日 20時) (レス) id: 10d63d3fb8 (このIDを非表示/違反報告)
* *花菜**(プロフ) - なーななさん» ありがとうございます(*´ω`*) (2018年3月27日 20時) (レス) id: 10d63d3fb8 (このIDを非表示/違反報告)
* *花菜**(プロフ) - 倉戸さん» ありがとうございます!頑張りますっ! (2018年3月27日 20時) (レス) id: 10d63d3fb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:* *花菜** | 作成日時:2018年1月10日 22時

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