第96話 ページ4
冴子side
1年坊主が忘れていった靴を届けに行ったあの子、Aちゃんは龍と同い年とは思えない程の落ち着きと大人びた雰囲気。
ありゃ誰もが振り向くべっぴんさんだ。東京なんて来たらモデルスカウトとかされそうだな。てか私だったらする。
冴「いや〜私らの役目は終わったな!でも東京はさすがに遠いわぁ!」
でも
なんだろう…大人びた雰囲気の奥に感じるものは。周りにはいないであろうこの空気。
『何故、私を連れて行こうと思ったんです?』
冴「そりゃあ帰りの車が寂しいと思ってさ〜!…ってのは建前、かな。」
なんとなくだけど
冴「あんた、な〜んか寂しそうだったし。」
『…私が?』
冴「別にあれこれ聞こうとは思わないけど、いつもと違う事して気分転換になっただろ?」
普通の人には出せないような独特の雰囲気を漂わせていたから、きっと何かあるんだろうとは思った。
冴「それと。」
お礼言ってなかったからな。
冴「弟たちの面倒見てくれてありがと。感謝してんだからな!」
『…彼らは元々自分でどうにかしようと、前に進もうとする力はありました。私は手助けしただけなんです。』
お礼なんていらない。そんな風に聞こえたけど、私…龍たちにとっては救いの手が差し伸べられたんだから
冴「受け取れるもんは受け取っておきなって。」
『…そうですね。』
きっと龍たちは知らないであろうAちゃんの事。何があったかなんて聞くほど野暮じゃない。
『冴子姉さん。』
冴「んあ?」
『……今日は、連れてきてくれてありがとうございました。』
冴「…おう!またどこでも連れて行ってやるから!」
東京に行く時より、いい顔になってんな。
真っ直ぐ私を見てくれた。
こりゃ、あいつら…というかあの子が惚れるのは納得だな〜♪
ほんっと、連れてきてよかった。
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作者名:極東華梛魏 | 作成日時:2021年12月7日 14時