鈴の音色 2【HQ 西谷夕】 (ページ35)

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第78話ページ35

Aside

『貴方とは、初めてお会いしますね。』

振り返ってそこにいたのは

鳥「気づいてたのか。ストーカーみてぇにコソコソと後を付けて悪かったな。」

ラフな格好に金髪の

鳥「烏養繋心。烏野バレー部のコーチだ。夜月Aさん、だよな。」

『…坂ノ下商店の…』

鳥「知っていたのか。」

『バレー部の人達が言っていましたから。それから、夜月と呼び捨てで結構です。』

よく部活帰りにみんなで立ち寄っていると聞いていたから、名前は知っていた。

『そのコーチが私に何のご用ですか？』

付けてきたからには何か用があるのだろう。
この烏養さんとは話したことも関わった事もない。そして何故私の事を知っているのか。

鳥「うちのバカ共に勉強を教えてやってくれたんだってな。礼を言わなきゃと思ってよ。ありがとな。」

『その事ですか。別に大したことではないです。』

お礼を言いたかった…ではなくて

『それで、本題は何ですか？』

烏養さんの顔が曇り、気まずそうにした。もう、烏養さんが話したいことは分かっている。

鳥「いや、その…夜月の………一族の事、じーさんに聞いちまってよ……」

聞いた誰もが言葉を失う出来事。

『……可愛そうだと、哀れだと思いましたか？』

聞いた人はみんなそうだった。

鳥「いや、そうじゃねぇ。確かに現実味のない、信じがたい事だ。」

私たちの世代や少し上の人達は知らない過去。

鳥「当時俺たちは中学生だ。うっすらとしか記憶にねぇし詳しい事は何も知らねぇ。けど…何があったのか少し聞いた。」

『なら私が何をしたか、何をしようとしているのか、なんとなく察しているのでは？』

この町に戻ってきた理由
人と関わらない理由

鳥「だが、お前はお前だ。目的があるのかもしんねぇけど俺にとっちゃ関係ねぇし、あいつらの面倒見てもらった恩がある。」

恩、だなんて考えたことはない。

『……彼らには、強い思いを感じました。目的を果たそうとする姿が、自分と重なった。だから手を貸した。それだけです。』

彼らの目的が"光"なら…