第71話 ページ28
Aside(続き)
雪との帰り道。日が沈む空はオレンジ色に染まっていた。
そういえば、日向君の髪の色と似ているな。
雪「ね〜A。」
『ん?』
雪「みんな勉強を頑張っている理由は覚えているよね?」
『東京に行くためでしょ。』
間違いではないと思う。
バレーで他校との合同合宿に参加するために、と西谷君と田中君が頭を下げてきたのだから。
雪「まぁ、それもそうなんだろうけどね〜」
『なに、その含みある言い方は。』
雪は彼らの考えに何か勘づいているのか。
それとも、私の事なのか。
雪「ん〜なんかね。A、あまり周りと関わろうとしないじゃない?」
あ、思ってたのね。
雪「何かあいつらが気にしててさ。」
『何であの人達が私の事を気にするの…よく分からない。ただのクラスメイトなのに。』
ただのクラスメイト。それ以上でも以下でもない。女子ならともかく、男子が関わろうとするイコール下心、とも思っていた。失礼かもしれないけど。
雪「私もちょっと思ってたんだけど、何て言うのかな…雰囲気?寂しそう、というか何を考えているんだろ〜って感じ?上手く言えないけど、みんなとは少し違うのよ。」
初めて雪の口から聞いた私の事。不思議と悪い気がしなかった。多分、雪の表裏の無い性格がそう感じさせるのだろう。
雪「あいつらさ、普段あんなふざけたり騒いだりしてるけど人の事、よーく見てるんだよね!それでAの事、麗しの美人だ〜とか言いつつも何か感じてたんじゃない?」
『…そう。』
雪「合宿に参加したいのも本音だろうけど、Aに笑って欲しいんだと思うよ。もちろん、私もそう思うよ!」
雪が私に向けた言葉と笑顔が今の私には眩しくて、でも…嬉しかった。
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作者名:極東華梛魏 | 作成日時:2021年8月2日 20時