鈴の音色 2【HQ 西谷夕】 (ページ12)

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第55話ページ12

Aside(続き)

教室を出て廊下を歩く。
放課後の廊下は昼間と違ってとても静かだ。
あまり人とすれ違うこともなく、階段を降りて下駄箱前を通りすぎる。
屋上は、渡り廊下を渡った反対側の校舎。

ﾊﾞｼｨ
ﾀﾞﾝｯ

「もう一回！」
「ちゃんと構えろ！」

外から話し声と音が聞こえる。
見てみると外で練習をしているのはオレンジの髪の日向君…と、もう一人背の高い黒髪の子。

影「ちゃんと腰を落とせって言ってんだろ日向ボゲェ！！」

日「くっそ～～もう一回だ！！」

バレーの、ボールを受ける練習？
何度も同じ事の繰り返しだけど、毎回ボールは違う方向へ飛んでいく。
私には関係ない。屋上へ行くために渡り廊下を歩く。

ﾊﾞｼｨｨﾝ！！！！

日「だっ！！やべぇ！！！」

影「バっ、バカ！！！」

物凄い音ともにボールがこちらへ飛んでくることが分かった。
大したスピードではない。
そう思いながら私は横目にボールを弾き、彼らの元へ返した。
見事に日向君の手元にボールが舞い降りる。

日「…！夜月…さん？」

影「…………っ」

『………』

日・影「「す、すいませんっしたぁ！！」」

日「夜月さん！大丈夫ですか！？」

『別に。』

標的が大きく来る場所さえ分かれば弾くことぐらい私にとっては造作もないこと。
気にせず私は反対側の校舎へ入る。

みんな部活だろうから屋上は誰もいないよな。
屋上へと続く静かな階段を上った。