鈴の音色 2【HQ 西谷夕】 (ページ26)

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第69話ページ26

西谷side(続き)

勉強が再開してお昼が過ぎた頃に、冴子姐さんが差し入れでお昼を持ってきてくれた。

冴「あんたたち今回はやる気だね～！しかもこんな美人さんに教えてもらえるなんて二度とないかもよ～！」

もしかしたら本当にそうかもしれない。
次は無いかもしれない。

『…くん…』

こうやって関われるのも、ないかもしれない。

『西…くん…』

もし来年、クラスが離れたら…

『西谷君。』

西「のわぁ！」

び、びっくりしたぁ…先の事を考えていたら夜月さんが覗き込んでいた。しかも、前よりも近くに顔があったから思わず後退りしてしまった…
やっぱり、いい香りが…

『これ、どっちがいい？』

冴子姐さんの差し入れを選べと言ってきたからとりあえず手前を貰った。

西「さ、サンキュー！」

いただきますと龍の号令が掛かってみんなで食べ始めた時に、ちょっと気がついた。

雪「………Aがご飯食べてるの、初めて見たかも。」

『……そう？』

同じ事を思っていた。
いつも昼休みが始まるとすぐ何処かへ行って、食べ終わった頃に戻ってきて勉強を教えてくれる。
そんな感じだった。
教室で何かを食べている姿なんて、見たことがなかった。いつ、どこで何を食べているのか全く知らなかった。

雪「…食べるんだ。」

『失礼ね。』

吉村というか女子と話してる時は割りと喋るみたいだけど…
思っていること、言わなくてよかった…