【アバンティーズ】気に入らないあいつ

第9話 ページ9

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「焼肉行こ！！」

「急だね」





とある休日。
突然かかってきたそらくんからの電話の第一声がこれだった。

二つ返事でOKして、そらくんが好きそうな洋服を選ぶ。

自分に似合うのかは甚だ疑問ではあるけれど、こうやって女の子らしく振舞っていれば、人生それなりにスムーズにいけるものだ。そう知ってしまったから。




家を出る前、絶対にお酒は飲まない！と自分に言い聞かせた。

実はお酒は大好きで、家でよく飲む。でもなんといっても酒癖が悪いらしい。悪すぎるらしい。

だからそらくんの前では絶対に飲まないと心に決めた。結局は嫌われるのが怖いんだ。









「そらくん〜」

「あ！来た来た！」




約束の15分前に着いたけれど、そらくんはすでにそこにいて、私を見つけるとにこにこ笑って手を振った。




「そらくんって、やっぱモテるよね」

「え、なに急に」

「将来そらくんと結婚する人、幸せ者だね」




本当に、これ以上ないくらいいい人。




「…あのさぁA、気づいてないならいま言うけど、

俺の好きな人は」

「あ！見て見てあの人そらくんに似てない？」





なのに、なんで彼の言葉を遮ってしまったんだろう。





「…どの人よ、

…って、似てねぇわ微妙に似てねぇわ」

「え、そうかな」

「あー、もう、」




そらくんがガシガシと頭をかいている。どうしたの、と見上げるとなんでもねーよ、と言って頭を乱暴に撫でられた。





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