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夜が深けた。
BARに腰掛けていた太宰は硝子のコップで叩いたいして遊んでいた。
落ち着いた内装。
大人らしい雰囲気。
お洒落な音楽。
然し、椅子を2つ空けた先には太宰が嫌いな相手が座っていた。
「蛞蝓が私を態々呼ぶなんて」
「俺が呼ばなくても手前が呼んできただろう青鯖」
蛞蝓と呼ばれる男__中也はカクテルに少し口を付けた。
「Aは、今、植物状態だ。」
太宰の手が止まった。
感情を表に出さずとも、動揺しているはすぐに分かった。
「君と会ったから脳に強い衝撃が与えられ、混乱したんだろうね。
先に言うが…Aはポートマフィアにいるべきではない。」
「手前、いつからそんなにAのこと気にする様になったんだよ。
昔は俺に“過保護”だとか何とか言いやがって」
「中也には言われたくないね。
あの頃、嫉妬して欲しいからって冷たくしてみたりしてさ。
それに、君が一番分かっているだろう?」
中也は視線を落とした。
「分かっている。
だが、これは彼奴が決めるべきだ。
Aが決めたなら、俺は受け入れる。」
「中也らしくないねぇ?」
「うるせぇ、そんな事どうだっていいんだよ。
それより今は、彼奴がこうなった原因だ。
俺が首領を説得した。
この任務は俺が引き継いだんだ。
だから太宰。協力しろ。」
太宰は怪しく笑った。
「癪だが…Aの為に仕方が無いねぇ…
楓野花ちゃんでしょ?」
中也はその言葉に明らかに反応した。
「花を必ず見つけ出し、この手で俺が葬る。」
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作者名:花蓮 | 作成日時:2019年12月31日 11時