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4.あの人の為に今日も謳う ページ11

___嗚呼、いつの記憶だろう。






薄暗い天井。





煙草の匂い。





酒の匂い。






男は此方を向くと、手を出てきた。




『(私に何かしろってこと?)』




Aは周りを見渡すと、汚れたワンピースを着た少女が酒を持ってきた。





そして、男の手に渡すが…






「ちげぇーよ!!食い物…



本当、お前は使えねぇ…」





持っていた煙草を少女の手に押し付けた。




それは擦過傷となり、火傷の跡が残る。

反射的に男の手を振り払った。






「いってぇな…何してくれてんだよ!!」




少女を壁まで蹴り飛ばした。





何度も…何度も何度も何度も何度も何度も

お腹を蹴り、血反吐を吐いた所で男は止め、少女を引きずった。





『(見ている方が気が狂いそう…)』



少女は手を伸ばしながら言った。




「ごめんなさい……ごめんなさい…ごめんなさい」



然し、男は気に食わないのか少女の腕を引きずった。





ある部屋に放り投げられ鍵を閉められる。





その部屋は何も見えない程、真っ暗で、無数の虫がうじゃうじゃといた。




少女は必死に扉を叩いた。






「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい


良い子になるから!1回で言ったこと出来るようにするから!!嫌だよぉ…ここから出して…」





男は何食わぬ顔をしてどこかへ行った。





少女はどこか虚ろな目をしている。





薄紅色の髪。

若草色の瞳。






『嗚呼、私か。』

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作者名:花蓮 | 作成日時:2019年12月31日 11時

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