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1.後悔 ページ1

もう何時間探しただろうか。



Aのスマホには発信機が着いている。




然し、そのスマホを置いていってしまった。


雨が降り、夜も濃くなってきた。



「(私もかっとなって言い過ぎてしまった。



自分が何者だったか分からないのは何より怖いだろうにそれを押し抜けるように自分の思いをぶつけてしまった。)」




“何が守るだ”




太宰は後悔ばかりした。





「(これでは、あの頃の中也とAの関係と同じゃないか。)」




守ることが愛。


そんな自己満足の愛はAは求めていない。




分かっている…けれど。




「彼女に、もう…苦しい思いはさせたくないんだ。」



振り替えれば、後悔ばかり。



傘に打ち付ける雨は打ち付けるのをやめた。


それに気が付いた太宰は傘を畳んだ。




ヨコハマの海をフェンス越しに見た。




__“太宰さん…ヨコハマの夜は…綺麗なんだね”




彼女はすぐ横にいる気がした。





「当たり前だろう…」




__“当たり前のことでも、思ったことは伝わらないと思って…太宰さんも綺麗だとおもってたんだ”




「嗚呼、そうだね。」





あの頃はそんな他愛もない会話をしていた。




滅多に余り笑わない君も、その時は満面の笑みを浮かべていた。




美しく、儚い、愛らしい君___




「どうしたものかな。」






もう少し探そうと一歩踏み出した。



すると、目の前を車が過ぎ去る。





「…A?!」





助手席には目を瞑り怪訝そうな表情をするAが座っている。



一瞬だったが間違えない。







「あの車はっ…!!」




中原中也…嘗ての太宰の相棒。




「(もうポートマフィアはそこまで気付いたのか…)」




太宰は武装探偵社へ足早に歩いた。

*→



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作者名:花蓮 | 作成日時:2019年12月31日 11時

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