僕は普通が出来ない

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『今日も凄かったですね！』

そう言うと、及川先輩達は

『そんな事ないよ』

と口々に言う。

いっつも凄いのに謙遜してるんだ
そういうとこも先輩達のいい所なんだと思ってる。

だって先輩達は上手だもん
僕は昔はバレーをしようと思ったけどこんな身体じゃ役に立たないって分かったからやらないようになった。

聞こえない、体力だってない
スポーツのできる体じゃない。

そう理解してからは取り敢えず、自分で出来る事とできないことの区別をちゃんと付けなきゃって思うようになったんだ。

『今日も送ってくださってありがとうございました。』

そうやって、僕が笑うと

『いえいえ、明日も見においで』

そう、及川先輩は言ってくれる。

嬉しいな、僕なんかが見に行っていいなんて言ってくれて
こんなに迷惑かけてるのに、ありがたいな。

いっつも、そう思う。

『おかえりA、風呂はいってらっしゃい』

家に帰ると、お母さんが手話で迎えてくれる。

『ただいま！お風呂行ってくるね！』

僕もそう返す。

自室に行き、カバンや制服を置いて、部屋着を掴み取る。

それからお風呂に入る。

最初、一人で入る時は少し怖かったけど、
今は全然大丈夫！

いつも暖かくて気持ちいいんだ。

お風呂から上がると大体、お父さんがお仕事から帰ってきている。

『おかえり、お父さん！』

『ただいま、A』

それからお父さんとお母さんとご飯を食べる
いつも美味しいご飯を作ってくれるお母さんには感謝してる。
それに、働きに出ているお父さんのお陰で僕はここまで育ててる。

皆の優しさで、僕はここまで生きてこれてるんだ。

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