267話*言いたかった事* ページ30
やっと、ちゃんと謝るという事が出来た気がした。
謝りたかった事、謝らなければいけなかった事。
丸井がよく出来ました、というように僕の頭に手を置いて笑いかけた。
少しだけ安心してしまい僕もふ、と笑みを零す。
丸井「じゃぁ俺も一つだけ。
……お前の恐怖心を煽るような真似して、悪かったな。」
確かに思い当たりがあった。
ずっと潜んでいた丸井は確かに昔受けていた虐めを連想させる行為があって。
怖くて怖くて仕方なかった。
それだけは近くで様子を見ていて気になっていてくれたのだろう。
A「いいよ、どうせ僕の事だから気にせずにスルーするとでも思ってたんだろ。」
今思い返しても少し反応としてやりすぎたかな、と思うところは無かったわけではない。
その言葉で安心したかのようにそれぞれの面々の顔色がさっとよくなる。
切原「じゃぁこれで仲直り……っつー事で！」
丸井「何でお前が仕切ってんだよ！」
パンッと一つ手を叩いた音とそんな軽口のやり取りがどこか嬉しい。
やはり氷帝から立海までの道のりは遠く、気づけば空は夕焼けに染まっていた。
幸村「……もうこんな時間か。」
空を見ている僕の視線に気づいた幸村も同じことを思ったのか小さく呟いた。
A「練習の邪魔したなら悪かった。」
幸村「元々帰るところだったし気にしなくていいよ。」
そういえば面々もテニスジャージではあるものの鞄にテニスバックを背負っている。
切原「っていうか先輩、暇ならこの後一緒に飯どうっすか！」
夕暮れの赤に切原の笑みがよく輝く。
他のメンバーも一緒に行く予定だったのだろう、口を揃えて誘ってくれる。
菊丸「俺行きたい！」
A「……じゃぁ。」
悩んでいると助け舟を渡すように菊丸が声を発してくれる。
東京に帰れるように、と駅の近くで早速車椅子の入れる店を探してくれる。
A「……ありがと。」
丸井「いいって！」
それは店を探してくれている、という事に対してだけの言葉と思われただろうけど。
僕を受け入れてくれて、
謝らせてくれて、
そして何より、
僕の言葉を聞いてくれて。
"ありがとう"
切原「せーんぱい！俺が車椅子押します！いきますよー？」
A「わ、ちょ、馬鹿、やめっ……はっ、走るな！！！！」
そんな賑やかな言葉はオレンジ色に染まった住宅街の肌寒い空気によく響いて反響した。
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玲 - まるでその場に自分がいるかのようにのめり込むことができました！とてもいい作品をありがとうございます！長文失礼しました。 (2018年8月13日 19時) (
レス) id: 898fb0a605 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - もう…すごいとしかいえません。これほどの出来の長編を完結させるとは…！描写もすごくわかりやすいし、とてもよく考えて書かれたものなんだなってわかりました。読みながら主人公に共感したり、いろんなキャラに、いい奴だな、とか、かわいいなって思ったり… (2018年8月13日 19時) (レス) id: 898fb0a605 (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(プロフ) - 出雲流夏さん» コメント有難うございます。更新が遅くなり申し訳ございません。話の展開の予想外さ、文章や言葉はその時々の流れや雰囲気により使い分けを意識しているのでそう言って頂けてとても嬉しいです。またお時間のあるときにでも読んで頂ければ幸いです。 (2017年5月9日 23時) (レス) id: 147be326d2 (このIDを非表示/違反報告)
出雲流夏(プロフ) - 更新されていて、すごく見れることが嬉しかったです。月夜見さんの文章や言葉はキレイだと思います。私のような素人でもスッキリと頭の中に入ってきて、話の展開がよめなくて、キャラそれぞれが際立っていて、凄いと見ていて思いました。更新楽しみにしてます。 (2017年5月8日 16時) (レス) id: 3483900707 (このIDを非表示/違反報告)
月夜見(プロフ) - るりなさん» 待っていて下さった事にまず嬉しくてニヤケが止まりません……!!これから更新はできるだけ週２、３ぐらいで続けたいと思います笑 ありがとうございます!ただいまです！ (2016年12月6日 1時) (レス) id: 147be326d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月夜見 | 作成日時：2015年5月10日 15時
