∞虹色の憂鬱∞２ (ページ49)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:1,304 hit

９９ページ49

きっと今日のタイミングで例の返事をするのが最適だと思う。
「わかった。」
彼の表情が和らいだところで本番。
「お願いします。」
財前のときよりも動きが複雑で、しかも最後に彼の端正な顔が近付くという心臓に悪いシナリオ。
ずっとこの調子でいくと思うと、最後まで演じ切れるか不安になる。
それでもなんとか持ちこたえられたようで、監督にＯＫをもらって最後の砦に辿りつく。
白石の顔色が悪いのは気のせいではないだろう。
現に今日は一度も視線を合わせてもらえない。
想像以上に凹んでいる彼の顔を、いざ目の前にすると心が痛む。
「よろしくお願いします。」
「すまんな。」
営業スマイルに＋αして普段の笑顔に近づけるも、まったくの無反応。
「どうして謝るんですか？白石さんは悪くないですよ？」
「やって相手が俺なんて嫌やろ？」
動きながらだと意外とスムーズに話せるけれど、彼の口からはネガティブな言葉しか出てこない。
その言葉だけでなく表情も浮かないままで、見てるこっちが心配になってしまう。

１００→←９８※