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「あんな、お願いがあんねん。」
一通り打ち合わせを終えたところで財前が切り出した。
「どうしたの?急に改まって。」
「白石くんと話したって。」
白石が頼むはずがないので、これは財前のおせっかいだと瞬時に理解する。
「…ごめん。今日はそのお願いは聞けないわ。」
「やって…。」
捨てられた子犬のような目で奏を見つめる財前。
仕事とはいえ、今の二人を引き合わせてしまったことに責任を感じているようだ。
「仕事はちゃんとやるし、オトナとして最低限の礼節は守る。でもそれ以上はなにもないから。」
「奏…。」
「本当は逃げ出したいくらいギリギリなの。でもわたしも一応プロだからここにいる。それだけ。」
「…ほんまは言いたないねんけど。元カレからのお願いでも聞いてくれへんの?」
「何年前の話よ?」
そう、二人は少しだけ付き合ってた。
このことは横峯すら知らない。
というか別れた今も当時のことは言えない。
あの頃の兄は今より何倍もシスコンを拗らせていて大変だった。
もし知られたら二人は同じグループでやっていけないと思う。
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作者名:kanade | 作成日時:2020年6月6日 23時