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一通り泣き終えた呂太は、Aとの日々を走馬灯のように思い出していた。

初めて会ったあの日のことも。

彼女を守りたいと思ったあの日のことも。

そして彼女を守れたあの日のことも。

そんなことを考えているうちに、二人の乗ったバイクは駅の案内標識の横を通り過ぎていた。

駅の駐輪場にバイクを停めたAは、人気の少ない高架下まで呂太を連れ出す。

「Aちゃん…どうしたの?」

呂太は戸惑いながらも彼女の後をついていく。

しかし、その距離はいつも以上に離れていた。

薄暗い歩道の中間で立ち止まり、振り向くA。

まだ瞳にうっすらと涙を溜めている呂太を思い切り抱きしめる。

「え…。どうして?」

いきなりの展開に困惑する呂太。

「ねぇ知ってる?ハグをすると、心の荷物が軽くなるんだって。」

「そうなの?」

「うん。今まで呂太くんがいっぱいハグしてくれたから、あたしはすごく助けられたの。」

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作者名:kanade | 作成日時:2022年10月9日 21時

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