48 ページ48
「映ちゃんも苦しかったんだね。」
菜月が悲しそうに言う。
いつでも感情をストレートに口に出せるのが菜月の良いところだ。
「そんなことねぇよ。」
映士がぶっきらぼうに答えるときは、いつもの照れ隠しだ。
「俺様よりも明石のほうが苦労したんじゃねぇのか?百合と一緒にいた時間が一番長いだろ?」
「そうでもないさ。残念ながら、俺はあいつのことを何も知らなかった。」
「でも、自分がここまで回復したのは明石のおかげだ。って言ってたぞ。」
「回復って…?」
「10年前の出来事のあと、あいつはかなり参っていたはずだ。記憶を消すのだって、相当な力を使うだろうからな。」
明石は映士が少々俯き加減に話しているのが気になった。
自分の表情を読み取られないようにするためなのだろう。
それは蒼太と違ってポーカーフェイスができない彼なりの術だった。
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kanade(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます。2話目から名前を固定しています。ご希望が多ければ変換するように編集しなおします。よろしくお願いします。 (2022年8月31日 12時) (レス) id: 89b2c9bd4d (このIDを非表示/違反報告)
つぼみ(プロフ) - 名前変換しなくなったんですか? (2022年8月31日 7時) (レス) id: 0933191a9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kanade | 作成日時:2020年8月22日 22時