深い海の底で (ページ1)

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深い海の底でページ1

フロイド先輩と別れた。
周りのオクタ寮生に
好きなのに別れたのか。
と聞かれた。
「好きだから(・・・)別れたんだよ。」
ボロボロ溢れる涙に気付き
目元をハンカチで拭った。
フロイド先輩に貰ったハンカチ。
あの人の意識は
もう別のところにある。
「ねぇねぇ小エビちゃん。」
監督生と呼ばれる男
ユウはフロイド先輩と付き合っている。
しかも
俺とフロイド先輩が付き合っている途中から。
ほとんど浮気の様なものだ。
「そんな顔をしないで下さい。僕まで悲しくなってしまいます。」
スンスンと泣くフリをするジェイド先輩。
フロイド先輩の兄弟。
バッ、と肩に乗せられた手を振り払う。
「おやおや…」
フロイド先輩に似た風貌に
また涙が溢れ
しゃがみこんで嗚咽を漏らす。
「海と山、どっちが好きですか？」
ジェイド先輩は俺の手を握って
ニコニコ笑った。
「…海。」
小さな声でボソリと呟くと
ジェイド先輩は俺の事を抱きかかえた。
寮長と学園長に許可を貰い
着替えの服と靴
それと少しのマドルを持って
ジェイド先輩と学園を出た。

「とりあえずこの薬を飲んで下さい。」
海に出てすぐに渡されたのは
水中呼吸薬だった。
サムさんのミステリーショップでも売っている物だ。
コク、と一気に飲み干すと
ジェイド先輩に手を引かれ
海に沈んだ。
ジェイド先輩は人魚の姿に戻っていて
とても綺麗だと息を飲んだ。
「ここなら、泣いても海が隠してくれますから。」
パクパクと口を動かすジェイド先輩。
先輩の顔を見て
また泣いてしまった。
いつもの様なイジワルな顔ではなく
聖母の様な柔らかい笑顔。

「少しだけ、泳ぎませんか？」
長い指で前髪に触れ
もう片方の手で俺の手を取った。
人魚は泳ぐのが速いらしい。
けれど、ジェイド先輩はゆったりした速度で泳いだ。
人間の俺を気遣っての事だろう。
「僕の宝物を見せてあげます。」
特別ですよ。
と微笑む彼は
少しだけ泳ぎを速くして
コポコポと息を吐きながら
海面へ向かった。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
モブ♂(1年生)
フロイドの事が大好きだった。
浮気された。

フロイド(2年生)
モブ君の事好きだったけど飽きた。
新しい子(監督生)が良い。

ジェイド(2年生)
モブ君可愛そう…

続きます。