不登校の私は人気歌.い手として活躍しています！その9-2（通常ver）

＃371　人形 ページ43

luz side

今のことがどういうことか分からん人、沢山おるやろうから、その時のことを話してもええかな？俺とAちゃんの出会い。
俺とAちゃんは「普通じゃない」出会い方をした。

・・・・・・・・・

俺の親の親戚は日本の政府に勤めている政治家。
そして国税庁の長官官房と呼ばれる職に就いている。長官官房っていうのは国税庁の要ですごく責任の重い職。
その中でもいくつかに分かれているんだけれど、その説明は難しいし関係ないから置いておくね。

その親戚はその長官官房と呼ばれるところで働いていた。そこで弓乃家に出会ったんだ。


俺は中学生ぐらいの時に大阪にある弓乃家の屋敷へ行った。そこで何か会食会みたいなのがあってついていくことになんったんだったと思う。あまり詳しくは覚えていないんだけどね。

まあなんか堅苦しかった。いろいろマナーとかそういうのは教えてもらってきてたからそこまで苦ではなかったけれどなんていうか…疲れた。

小さい頃からそこで会食みたいなのについて行っていたらそこの弓乃家の主人に気に入られて、それから毎回行かなきゃいけないことになったんだよ。
小さい頃は楽しかったんだけど、大きくなるにつれて大人のことについて知っていく。だんだんと知っていくうちに嫌になってきたけれど断れなくて無理やり笑顔を作っていってたっけな？


ある時、俺が高校に入学したぐらいの時にもその会食へ行っていた。

その日はもう途中で疲れて小さな日本庭園みたいなところにいって休んでいた。大人たちは俺のことなんか気づいていなかったし丁度いいやって思って。


そこには誰もいないと思っていたけれど、小学校に上がりたてぐらいの女の子が庭に置いてあった大きな石に腰かけていた。ただただぼーっとしているだけだった。あまり見ない子だな…。そう思って声をかけてみた。

「どうしたの？一人なの？お母さんとかお父さんは？」

少し急かし過ぎたかな？そう思いながらも聞きたいことを全て一気に聞いた。
その子は俺に顔を向けて笑顔で言った。

『いえ。大丈夫です。お気になさらず。』

その言葉を聞いて思った。

ああ。この子も俺と同じ子なんかな。

嘘を、ただの仮面の笑顔を見せる子なんだ。こんなに小さい時から淡々と嘘を吐けるんだね。
感情を表に出さずに生きているただの人形ちゃん。同じ表情しかしない人形。俺も同じ。

「それ、本当に思ってる？大丈夫だって、思ってるの？」

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