不登校の私は人気歌.い手として活躍しています！その10-1（恋愛ver） (ページ37)

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＃411　”本物”になりたかったんだ。ページ37

Aside

天「Aのこと好きなんだって気づいた。でも、多分これは恋愛的にじゃない。”本物の”お兄ちゃんになりたかった。この中途半端な立ち位置じゃなくてちゃんとした確かな確証が欲しかった。そんなことは無理なんだけどどうしても。今のこの立場に納得しきれていないんだよ。」

そういう翔兄ちゃんに驚いていた。

天「今の立ち位置が嫌なわけじゃないんだ。でもAの一番がいいって高望みするようになった。勿論そんなこと無理なんだけど。AにはAの気持ちがあるし。でも、だんだん遠くに離れていくようで怖かった。」

翔兄ちゃんが初めて見せる弱みに驚きながらも静かに話を聞いた。

天「これは恋愛感情なのかなって思ったこともあるよ。でも、そうじゃない。何かが違うんだ。考えた。多分俺はちゃんとした「お兄ちゃん」っていう証が欲しかったんだと思う。そうすればもしも遠くに離れてても絶対にずっとお兄ちゃんでいることができる。そんな風に思った。」

そんなこと……私はお兄ちゃんだって思ってるけど…翔兄ちゃんはそれじゃ心配だったっていうこと…？

天「勿論無理なのは知ってるんだけど。でも、昨日抱きしめた時に言った言葉、「こっち向いてよ」は僕の本心。いや、正確に言ったら「僕”だけを”みてよ」か。別にAは今まで通りでいいから。気にしないでね。」

そう言うと翔兄ちゃんはニコッと笑って私の頭を優しくポンと撫でた。

『……そっか。私だって翔兄ちゃんがちゃんとした血のつながったお兄ちゃんならいいなって思ったっことはあるけどこれでいいかなって思う。じゃないと翔兄ちゃんのおうちに住めなかったってことでしょ？もし翔兄ちゃんのおうちがなかったら私は多分ここにはいなかっただろうから。』

そう言ってニコッと笑った。偽物の笑顔じゃないよ？ちゃんと本心から笑った笑顔。

そう言うと翔兄ちゃんも笑って

天「そっか。そうだよね。なら一つだけお願い聞いてもらってもいい？」

いいよという返事の代わりに頷いた。

天「ずっとAのお兄ちゃんでいさせてほしい。遠くに離れても。ずっと。」

なんだ。そんなことか。そんなの答えは決まってる。

『当たり前じゃん。私のこともずっと妹でいいから。従兄妹じゃなくて兄妹でいいよ。私のことも忘れないでね。』

そう言うと翔兄ちゃんは涙を流していた。

天「うん。ありがとう…。ずっとね。」

それだけ言うと私を抱きしめた。