＃386 女優 ページ12
Aside
さっきのそらるさんの言葉に驚いてつい顔を見てしまった。翔兄ちゃんも同じように。
そらるさんはふっと笑うと話し始めた。
そ「なら、俺と澪さんのことについて、話していくね。
俺の親はある芸能事務所で働く社員だった。そこで、その芸能事務所にある女の人が入ってきた。その女の人は18歳ぐらいの人で、俺はまだその頃8歳か。」
そらるさんのお父さんがかな？すごい…。そんな偶然あるの…。
そ「俺の親はその女の人、もとい澪さんのマネージャーになった。
澪さんはダンスと演技が優れていて、入ってきた当初から様々な役をこなしていった。」
ダンスは知ってたけど演技も…。女優だったっていうこと…？
そ「勿論最初は無名な役ばかりだったけれど、どれも真剣に取り組んでいて、周りの評判はとてもよかったらしい。だんだんセリフのある役も貰えるようになって、そのどれもを例え一言のセリフでも真面目に練習して努力している人だったらしい。」
なんかわかるな…私のお母さんらしいかも…。
そ「ダンスも優れていて、知名度のある歌手の方のバックダンサーについたこともあったりしたらしい。
俺はその頃から澪さんにすごく優しくしてもらって、いろいろなところに遊びに連れて行ってもらってた。ある意味お姉ちゃんみたいな感じ？
沢山いろいろなことを教えてもらった。演技するときに大事なこととか、ダンスの時にはこうしたらいいとか…。」
そらるさんのお姉ちゃんみたいな存在が私のお母さんか…。なんか変な感じだな…。
そ「段々芸能事務所内で澪さんの演技力についての噂が広まっていき、とうとう名前のある大きな役をもらえたんだ。でも、その時に澪さんは辞退を申し出た。結婚することになったって。それから事務所をやめてここの家に住むことになった。澪さんが24歳とかそのぐらいの時かな？親は澪さんに会うことはなくなったけれど、俺はしょっちゅうここに遊びに来てた。」
結婚するときにやめたのか…。もし結婚していなかったら今頃人気女優になってた？分からないけど。
そ「それからかな。多分Aにも出会ったことがあった。小さい女の子がいた気がする。俺のことはすごい警戒しててあまり仲良くしてもらえなかったけどね。」
そらるさんは私に笑いかけながらそう言った。
そう言えば…小さい頃に誰か来てた…？あんまり覚えてないんだけど…。確かに言われてみればっていう感じする…。
そらるさんはどんどん話を進めていった。
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