松川サン、俺コッチ。【松川一静】

ストーリー＊30 ページ32

▽松川一静side




いつもなら、もう教室にいるのに。

なんでいないんだろう。

俺がみんなに聞くと、なぜか目を泳がせた。




「いや、それがさ…な？」

「まあ、アレだな」

「そう、だね？うん……」


「…なに。お前ら、松川サンがいない理由、

知ってるの？」




急に黙り込むみんなに、さらに聞く。

だって、絶対なにか知ってるデショ…？




「ね、中田。俺が来る前、なにがあったの」

「そ、それは…」

「……高瀬、お前は？」

「え、その……」


「……黙ってないでさ。早く言いなよ、ネ…？」




じゃないと、俺ほんとに帰るよ。




シンとした空気を裂いたのは、

2人の女子だった。




「ごめん、松川くん…！」

「私たちが、悪いの！」




湊さんに結木さん。

たしか…昨日、松川サンと一緒にいた。

俺は、黙って2人の話を聞いた。



「昨日、私見たんだ…。松川くんが、

松川さんを抱きしめてるとこ……」

「そのことを聞いた私が、松川さんに話して…。

そのあと、周りで聞いてたみんなも次々に

松川さんに松川くんが好きなのか聞いて……」


「そしたら、松川さんが教室飛び出して、

どこかに行っちゃって…悪気はなかったの！

でも、松川さんを傷つけた…」

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