松川サン、俺コッチ。【松川一静】

ストーリー＊14 ページ15

▼松川Aside




ガシッと掴まれた両腕。

え、この2人女子だよねと疑うほど、

力強くて解けない……。


仕方なく、両腕を掴まれたままギャラリーから、

休憩中であろうバレー部の姿を眺める。




(仕方なくだ。べつに、あの人を見るわけじゃない。

て言うか、早く練習始めてくれないかな。

早く。今すぐに帰りたいんだけど。

10分で部活終わらせなさいよ……！)




そう自分に暗示をかけながら。




「……ね、松川さん」

『？なに…』

「そんな嫌な顔しちゃダメだよ？

松川さん、可愛いんだから！」

『え、か、かわ……』

「そうだよ！ほら、笑って笑って〜！」




そう言って、湊さんは自分の口角を指で上げる。

私が、かわ、可愛い……。




『わ…』

「？松川さん？」

『私なんか、より…湊さんと結木さんの方が、

可愛い……デス』

「「……ブハッ！」」

『⁉』




いきなり吹き出し、腹を抱えて笑う2人。

私、変なこと言った……？




「はは笑ごめんごめん！

松川さんがそう言ってくれるなんて嬉しいよ」

「それに、名前呼んでくれたし！

あ〜可愛い子に名前呼ばれるのって、

テンション上がるねー！笑」




さっきは爆笑していたのに、今は微笑む2人が、

なんだか羨ましく思う私は、変なのかな。

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