デッド オア ヘル【rd】 ページ49
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後ろからの追手から命からがら逃げ出す、という経験をした人間はそう居ないだろう。
私の両親は所謂借金というものを多額、マフィアにしていたのだ。何億もの借金は日本のきちんとした公的機関には受け入れて貰えず、海外の、しかも一番借りてはいけない所に借りたのだ。
まあ分かると思うがその億の借金もギャンブルで全額飛ばして無事マフィアに殺された。私も殺されるのかと思い目を閉じたが、両親を殺した赤いマフラーと青いニット帽の漢は優しい手つきで頭を撫でて私に対して提案をして来た。
「俺、初めて一目惚れしたんだよね。Aって言うんだ。名前も可愛いなんて天才かぁ？あの猿みたいな頭の親とは違って可愛いねぇ。ね、10億の女にならない？大丈夫、痛い事はしないから。抵抗しなきゃ、な？」
『……はい』
「偉い偉い、俺らっだぁ。これからよろしく」
殺されたくない私は必死で頷いた。連れ攫われた方が地獄だという事にその時の私は気付いていなかったのだ。
らっだぁさんは私に対しては表面上は優しいが、軟禁状態で日の光も浴びさせてくれなかった。
他の男の話をすると首を絞めてくるし、外の世界に出ようとすると、「何処行こうとしてた」と躾をしてくる。
限界だった。ストレスで細くなった身体は私に対して悲鳴を上げたのだ。心身ともに無理だと思った私は逃げ出した。死んだ方がマシ、だと思ったのに。彼は部下総動員で私を探し、私の必死の抵抗がものの10分で捕まった。
「はい、捕まえた。もー、鬼ごっこするなら言ってよ。逃げ出したのかと思って吃驚したじゃん……なぁ、何か言えよ。謝るなら今のうちだけど」
『っ……殺して下さい』
私がそう言うと一瞬驚いた顔をしたが、「やだよ」と言うらっだぁさん。舌でも噛んでやろうかと思ったが、そんな勇気があれば既にしている。
「俺が好きな女を殺すと思う？ま、もう二度と外に出られないようにお仕置きはするけどさ。殺したら喋れないし、俺の事を見てくれないでしょ？やだよそんなの。絶対に外に出さないから一生俺と一緒に居てね、A」
その姿を見てひゅっ、と喉から悲鳴にならない声の成れの果てが出る。ドロドロとした青い瞳は私を絶対に逃さないと言わんばかりだ。必死に後退りをするも、腰が抜けて逃げる事が出来ない。
抵抗できない私ににこりと微笑んだらっだぁさんは私をお姫様抱っこして監獄へともどした。
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