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｢本間はとっくにここに隠れてる、って気づいとったんやけど…恐怖に震えるアナタが見れるかな、と思って！｣
にこにこと効果音がつきそうなくらいに元気な笑顔を見せる男。狂ってる、そう表現するのが最も相応しいと感じるのに、そう時間はかからなかった。
｢何で拉致され、殺されかけているか…全く想像つきませんよね？知ってます。折角なので説明してあげますよ。
単純に、運が悪かった…それだけの事や。
ウチの下っ端がやらかしてもうて、一般人に見られてもうたんよ。悪いけど決まりやから、其奴のことは始末したんやけど…… ちょうど同じ時間帯、現場から一定の範囲に1人の一般男性と…
アナタ、Aさんが運悪く範囲内に存在していた。つまり、保険の口封…ってことや。因みに、もう1人の男性は既に排除させて頂きました！なので、後はアナタ1人なんですよ。
だからこうして始末しに来た…って訳です｣
胡散臭い笑みを顔いっぱいに浮かべ、罪悪感も一切ない元気な声色でそう告げられ、思わず呆気にとられる
なんだその理不尽な理由は、私は何も見ていないし何も知らなかった。なのに保険で殺されるなんて……
｢…ンふふッ、信じられない…って顔してますね。そうですよね、こんな理不尽な理由で命の危機に晒されるなんて…たまったもんじゃないですよね。｣
先程からこの男、エスパーかと疑うくらいに私の心情を当ててくる。これが裏社会の人間か、と感心しながらも、全てを暴かれるような恐怖を覚える
『そ、そりゃそう……デス、よ……こんなこと、急に言われて理解出来るはずもないじゃないですか！そもそも、貴方は誰ですか…私は何も知らない……だから許して下さい…………今日のことも、誰にも言わないから…』
今にも溢れ出しそうな涙を堪えながら、許しを乞う
男は何か思いついたかのように顔を綻ばせた。ぐるりと、橙の瞳が渦巻いた気がした
｢申し遅れました。チーノと申します！お察しの通り、裏社会の人間であり、マフィアの男や｣
そう男は名乗った。ちーの、ちぃの…チーノ………この名は未来永劫、忘れることは無いだろう。私の心に、恐怖の対象として永遠に刻まれた
｢Aさん、死にたくないですよね？｣
そう問われ、勢いよく何度も首肯する。この際、なぜ名前を知っているのかなんてどうでもいい。相手はマフィアだ、常識を問う方が非常識ってモノだ
｢ほな提案や、俺に一生飼い殺されてや｣
口篭ることなく笑顔で告げられた内容に耳を疑う
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