【実ｼ兄者】裏の世界の住人と後編【合作】 (ページ42)

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そう言って抱っこして帰った日から、もう数十年が経った。

「っ…ちっ」
『コネシマ！いいから降ろして！私も戦える！』
「あかんねん！！怪我したらどんだけ怒られると思っとるん！」
『怪我なんかしないもん！』
「そう言ってこないだもAお嬢怪我しとったやろ！」

そんな口喧嘩を交わしながら、お嬢をお姫様抱っこし、路地という路地を駆け抜ける。

追っては2人か3人。戦えば勝てそうではあるが、このお転婆娘を逃さねば。

『コネシマ』
「ん？」
『…お父さんには言わないでね』
「は！？おい！？」

胸元にしまっていた重みがなくなる感覚。カチャリという音が肩の上で聞こえる。

『私を狙うなんていいご身分ね！』

綺麗な被弾音。お嬢も随分成長したものだ。

敵が仲間を心配する声。それを聞きながらも躊躇せずさらに銃を構えるお嬢。

『…ふん、私を狙うからよ』
「ほんま上手くなったもんやわ」
『でしょう？』
「いい子…とは言えんけど、ようやった」

ふふっと自慢げに胸を張るAお嬢。その姿が小さい頃と重なって愛おしく感じる。

そこまで変わっていないようで、しっかり成長している。でも、俺のことを「コネシマ！」と呼ぶ笑顔は変わっていなくて。

「Aお嬢のお父さんには内緒で、パフェでも食べにいくか」
『…！！やったぁ！！』
「その前に一服っと…」

も〜体に悪いのにと横から飛んできた声を無視して、少し高鳴る胸の理由を考えないように肺一杯に煙を入れた。