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「Aさんも、私に一目惚れしてくれたんでしょう？
私もですよ。Aさんがこんなに汚い私を褒めてくれて、好きだと言ってくれて、それで、どんどんAさんのことが好きになってしまいました」
先程までの、可愛い顔の染め方とは違う。
光悦とした表情を浮かべる、エミ先生。
「いけないんですけどね、生徒と教師の恋愛なんて」
ついさっきまで望んでいたはずの展開。
男女二人が密室で……なんて展開。
望んでいたはずなのに、なぜか、怖い。
なぜか…？そんなのもう分かっているじゃないか。
今目の前にいるエミ先生が、いつものエミ先生ではないからだ。
「でも大丈夫ですよ！
今は教師でも、本職は教師ではないので！」
『……へ』
私の口を塞いでいた手を退けて、ニパッと無邪気に笑う。
エミ先生はそのまま、ニコニコとした表情のまま、自身が着ていたニットの中へと手を伸ばす。
カチャリと、音がした。
戻ってきたエミ先生の手元には、真っ黒な拳銃が握られていた。
「ズボンのベルト部分に隠していたんです。
急に抱きついてくるAさんにもバレないように気をつけていたんですよ？」
ニコニコとしながら、拳銃の引き金部分に手を当てたり、引っ込めたりするエミ先生。
恐怖で、喉からヒュッも音がした。
「ああ、大丈夫ですよ怖がらなくても。
貴方に発泡したりしません」
怖がっている私に気づいたのだろう。
不安を紛らわせるように、私の頭に手を置いて撫でてくれるが、今はそんなことをされても恐怖が増す一方だ。
何、どういうこと？
なんでエミ先生がそんなものを持っているの？
『なん……っ…で』
「マフィア、と言えば、伝わりますか？」
マフィア……まふぃあ…。
知っている、知ってはいる。
だが、それが何？
なぜ、今？
「私の本職は、それなんですよ。
ある調査で、ここの学校に教師として送られてきたんです。
あの時はほんまに嫌やったなぁ。
爆弾でも投げ込んでやろうかと思いましたよ。
やけど今は、感謝してます。
やって、Aさんに会えたんですから！」
教師という仕事は本職では無い。
さっき言ったエミ先生のそのセリフの意味が、ようやく分かった。
「本職ではなくとも、教師という立ち位置には変わりませんので。
Aさん、前、仰ったでしょう？
私のことが知りたいと。
教えてあげます。私のことも、こっち側のことも。
だって私は教師ですので！」
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