2 ページ39
そんな神ちゃんを見て、とりあえず自分から出た言葉が
「お願いやから、考えさせてほしい!!」
だった。
神ちゃんも「…え?」と声を上げてびっくりしている。
これ以外に神ちゃんを引き止められる言葉なんて持っていない。
ただ今、好きと言っては嘘になってしまう。
神ちゃんに嘘はつきたくない。
ちゃんと本音で、真っ直ぐにぶつかりたい。
「ごめん、俺ほんまに神ちゃんのこと今までそういうふうに意識して見たことなくて、っていうかそもそも男の人ってだけでそういう対象から除外してた。
偏見は全く無い。けど自分には無関係な事やと思っててん。
でもこうやって今言ってもらって、始めて考えたっていうか、今考えてるっていうか…
まだ全然理解が追いついてくれへんねん。やから!!
時間がほしい、ちゃんと考えて返事したいから。」
すると神ちゃんは
「ありがとう、しげはほんまに優しいな」
と泣きながら笑ったのだ。
…
授業終わり、一緒に夕飯の買い出しをして神ちゃんの家に帰る。
ご飯を作り、順番にお風呂に入って、ゴロゴロして寝る。朝起きて、朝食を食べて大学へ向かう。
お互いにバイトが無い日はこうやって過ごすのが日常になっていた。
服や下着やジャージは何セットか神ちゃんの家に置いてあるし、教科書はだいたいサークルの部室のロッカーの中に詰め込まれているので問題ないのだ。
いつも高いお風呂道具を使わせてもらう分は、一緒に買いに行って俺が半分出すことにしていた。
料理はできなくは無いが神ちゃんのご飯の方が美味しいので作ってもらう代わりに、俺がいる日は洗い物や洗濯はやると申し出ている。
神ちゃんが毎日のルーティーンとしているトイレ掃除やお風呂掃除をしてくれて、俺は気がついた時に掃除機をかけたり、たまにスイーツを買ってきて神ちゃんを労わる。
当たり前のようにこの生活が馴染んでいた。
241人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なーー | 作成日時:2023年1月8日 1時