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あんなに必死に隣にいたのに。
いつの間にか俺はセンターとなり、神ちゃんのシンメははまちゃんになっていた。
普段の立ち位置でも淳太と流星が神ちゃんの隣にいる。
何故だ?
デビュー後もインタビューで関係性を聞かれる機会があれば俺のシンメは神ちゃんだと誇らしく伝えてきたのに、神ちゃんは「俺としげは昔シンメやったから、……」などと過去形にしてしまうのだ。
いつまでも俺にとってのシンメは神ちゃんだけやねんけどなー…
俺の神ちゃんやったのに…。
なんて楽屋のソファーで目を閉じて、神ちゃんに対する重たい愛を渦巻かせながら休息をとるのが日々のルーティーンとなっている。
…
うつら、うつらと夢の中を漂っていると聞こえてきた会話
「神ちゃんほんまに一途やなぁ」
「告白したらええのに」
「うーん…、俺そんなことして気まずくなりたないねん。
今の関係が崩れるのも怖いし」
「大丈夫やろ!いけるって神ちゃんなら!」
「いやいや無理やねんって!
もうええの!好きになった時から諦めてるから、」
………え!?
急激に意識が戻ってきた。
緊急事態である。
神ちゃんが、恋をしている…?
とにかく急いで身体を起き上がらせた、もののどうすればいい?そこまでは考えていなかった。
「お、起きたかー」
「しげおはよー」
「おはよ、」
なんてメンバーに返事をしつつ、神ちゃんが一体どんな恋をしてしまったのか聞こうと思ったが、当の本人が既に話題を変えてしまっていた。
こんな事なら寝たふりを続けておけば良かった。
俺の恋心は出会った時に神ちゃんに奪われて以来、未だに返ってきていないのだ。
もしも神ちゃんの恋が自分のものと同じぐらい強烈で劇的なものだったとしたら、
そんな相手に出会ってしまったのだとしたら…。
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作者名:なーー | 作成日時:2023年1月8日 1時