11話 ページ12
それから事務所は嵐に新メンバーを入れるということを世間に公表した。
それはもう瞬く間に広がって、テレビを付ければ「嵐に新メンバーが加わる！」「一体誰だ！？」だの、新聞では「ジャニーズ事務所が嵐に新メンバーを入れる！」等々、世間では大騒ぎ。
「なんか凄い事になってるんだけど、皆、大丈夫かな？」
自分達のグループが解散する時もこうなったのが凄い懐かしい。
でも、あの時は事務所が守ってくれたから何とでもなった。
今の嵐は人気アイドルグループになってるから、少し心配。
「さすがに名前まで公表しちゃマズイよね。今は一般人だし」
記者会見もしないのかな？って考えてると携帯に着信。
「噂をすれば。もしもし？」
『お疲れ、A』
「お疲れなのはお兄ちゃんの方だよ。てか、大丈夫？世間で大騒ぎになってるけど」
『大丈夫。事務所が上手くやってくれてるからね。Aの方は大丈夫？』
「こっちも平気。名前を出したら、マスコミが追いかけてきたかもしれないけど」
『だね。事務所はAの名前を出すかどうか迷ったみたいだけど、最終的に出すのを辞めようって判断したみたい』
「そうなんだ。じゃあ今頃、事務所は対応に追われてるかも」
『忙しいみたいだよ？昨日事務所に寄ったら電話が鳴ってたから』
「あちゃー、早く騒ぎが収まってくれればいいんだけどね」
『そのうち収まるよ。あ、そうだ。おいら、スケジュールの事で電話したんだった。A、初仕事なんだけど、収録に決まったの。もうマネージャーも決まったから、朝に迎えに来るから準備して待っててね』
「はーい」
『むふふ。いよいよだねぇ。初仕事の時はおいらも車に乗ってるから安心してね』
「ありがと、お兄ちゃん」
『おいらはAのお兄ちゃんだからね。妹を守るのも大事な仕事だよ』
「昔もよく言ってたね。今度は嵐のメンバーとしてお兄ちゃんと仕事出来るなんて思わなかったけど」
『それはおいらも同じ。社長から聞いた時は頭がフリーズしたから』
そう言うお兄ちゃんの声はどこか弾んでいた。
きっと私が引退しちゃったから寂しかったのかもしれない。
『それじゃ、まだ仕事あるから、またね』
「うん。頑張ってね、お兄ちゃん」
『ありがと』
電話でやり取りを終えて、数日後、初仕事の朝を迎えた。
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作者名：ミュウ | 作成日時：2018年4月22日 12時
