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6.事実 ページ8

背後から現れた旦那様に、一瞬虚をつかれたような表情をするも、母さんはすぐに笑みを浮かべた。


「……あぁ、こんにちは、フィッツジェラルドさん。ようこそいらっしゃいました」

『嗚呼、久しいな。こんな辺境まで俺を呼び出しておいて、それがただ会食をするためだとは流石に言わないだろうな?』

「えぇ、勿論ですよ。…………何にしろ本日はコハルの解職(・・)の件で、わざわざこちらまでお呼びしたのですから」


『「「「……!!」」」』


母さんの口からさらりと出てきたその言葉。

言葉を失っている私やお嬢様の気持ちを代弁するかのように、旦那様が感情を押し殺して問いただした。


「……解雇だと? 笑えない冗談だ。本人が願っている訳でも無いのに、君にその権利があるのか?」


だがそれに対し、母さんは平然と答える。


「ありますよ? だからここにフィッツジェラルドさんとそのご令嬢をお呼びしたのですがね」

『…………は?』


母さんは妖しげに笑みを深めた。


「だがすぐにネタバレをするのも、興醒めというもの────この話はまた、会食の後で」


◇◆◇


何一つ味を感じられなかった会食が終わると、私達は母さんから呼び出された。

奥の方に通されて向かった先には、煌びやかな装飾の施された、狭いとも広いとも言えぬ様なと或る部屋があった。


座るよう促され、アンティークのテーブルを囲うようにして私達がソファに腰をかけると、母さんは徐に話し始めた。


「……さて、会食前の話を続けることとしましょう。議題は、コハルの解職について」

「俺は未だ納得が行っていない。何故今なんだ、何か理由でもあるのか?」

「強いて言うなら、コハルの誕生日が今月末だからです。……コハル、今月末の誕生日で何歳になるんだっけ?」


何歳?

え、年齢のこと?


『……18歳。……あ』


18歳といえば、私達が住む州の州法で成人年齢。


「そう。……18歳になると、未成年者契約の取消が通用しなくなる。そして、フィッツジェラルドさん。執事派遣会社への就職に関して、私は一切の関わりを持っておりません」


つまり知らなかった振りさえ装えば、私は保護者の権限としてコハルの就職を取り消すことができるのですよ。


……そう、母さんが告げた。

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珀惺(プロフ) - 水ガラスさん» ありがとうございます!!執事中の主人公は格好よく書きたかったので、そう言って頂けて嬉しいです……! (2022年9月23日 4時) (レス) id: f325ea4e61 (このIDを非表示/違反報告)
水ガラス - すごい……。面白いです!執事と聞いてどんな感じのだろうかと思っていたら、主人公のお仕事具合がかっこよくてびっくりしました。ぜひ主人公の幸せへの今世を応援したいです! (2022年9月23日 2時) (レス) id: 27a6582a0d (このIDを非表示/違反報告)
珀惺(プロフ) - クロノトさん» ありがとうございます……!これからもそう言って頂けるよう、頑張って投稿していきたいと思います! (2022年9月22日 6時) (レス) id: abe696b439 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 神作品キタコレ!! (2022年9月21日 21時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珀惺 | 作成日時:2022年3月30日 22時

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