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37.extraordinary ページ39

すると、蕩けるような笑顔で微笑まれ、私は思わず苦笑を浮かべる。

瞬間、探偵社の時が止まった。


「──おい。今のは何だ、一体誰だ」

『……えっと……、ご覧の通り暁奈ですが』

「……」

『……?』


近くにいた乱歩さんがつん、と指で突くと、国木田さんの体が床に崩れ落ちた。


「あ」


あ、じゃないです乱歩さん……。

そんな乱歩さんの反応に、暁奈がんふっ、とツボにハマったような声を出し、書類から顔を上げた。



その時、ガチャと扉の開く音と共に与謝野さんが現れた。


「何だい今の音は。誰が倒れ……、嗚呼、国木田か」

『あ、こんにちは』

「ん? お客さんかい? 駄目じゃないか、接客もせず放っておいちゃ」

「お客さんじゃないですよ、私の友人です」


暁奈の言葉にふぅん、と相槌を打ちながら全身くまなく眺められ、思わず背筋を正す。


「妾は与謝野晶子だよ。宜しくね」

『瑠璃川Aと申します。宜しくお願い致します』


立ち上がって礼をする。

すると与謝野さんが珍しそうに目をぱちくりとさせた。


「ヘェ、良い所出身のお嬢様かい? 所作が完璧だね。おまけに暁奈の様に顔立ちも綺麗……」

一寸(ちょっと)、与謝野先生?」


すると与謝野さんがふっと笑って暁奈を見た。


「何だい、相手は妾だよ?」

「関係ないでしょう。だって現に私がこうして……」


すると与謝野さんがはァ、とため息を吐いた。


「とは云ってもその当人は、まるでアンタの気持ちに気付いてないようじゃないか」

「……っ、それは」

『……あ、あの……?』


すると与謝野さんが「ほら」と肩を竦め、一方で暁奈が肩を落としたのが見えた。


◇◆◇


時刻はあっという間に過ぎ、夕刻に差しかかると、探偵社に映る人影も段々と減ってくる。

そんな中でも未だオフィスに残っている与謝野さんと暁奈、そして部外者の筈の私。


こんな所にずっとお邪魔していて良いのだろうか……なんて思い、そわそわしていると、不意に窓の外からパァン、と銃声が鳴り響いた。


『!?』

「な……!」


与謝野さんが慌てて窓側へと駆け寄り、開けて外の様子を確認する。

すると血相を変えた与謝野さんが私達を見て声を上げた。


「暁奈! 早く外へ!! それから、Aはここで待つんだ! 良いね!!」

「はい!!」

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珀惺(プロフ) - 水ガラスさん» ありがとうございます!!執事中の主人公は格好よく書きたかったので、そう言って頂けて嬉しいです……! (2022年9月23日 4時) (レス) id: f325ea4e61 (このIDを非表示/違反報告)
水ガラス - すごい……。面白いです!執事と聞いてどんな感じのだろうかと思っていたら、主人公のお仕事具合がかっこよくてびっくりしました。ぜひ主人公の幸せへの今世を応援したいです! (2022年9月23日 2時) (レス) id: 27a6582a0d (このIDを非表示/違反報告)
珀惺(プロフ) - クロノトさん» ありがとうございます……!これからもそう言って頂けるよう、頑張って投稿していきたいと思います! (2022年9月22日 6時) (レス) id: abe696b439 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 神作品キタコレ!! (2022年9月21日 21時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珀惺 | 作成日時:2022年3月30日 22時

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