25.wheel of fortune ページ27
｢近くて良い所だと……エク〇ルとか？｣
｢でも高いよね……あ、えと、安い方が良いですか？｣
おずおずと此方を見ながら聞いてくる彼女ににこっと微笑みながら答える。
『いえ、料金は一先ずお気になさらず。とりあえず疲れを癒したいなって思ってるので、過ごしやすい所であれば何処でも』
｢そうでしたか。じゃあエク〇ルが良いと思います！ あ、もし良ければ、そこまで案内しましょうか？｣
え、案内してくれるの？
日本人優し過ぎない？
『良いんですか？』
｢えぇ、勿論です！｣
｢是非案内させてください！｣
『そう云う事なら……』
こうしてホテルまで案内して貰う事になった。
◇◆◇
時刻は八時。
この上なく親切だった例のお二人とは別れ、今、私はホテルにいる。
あの後食事でも一緒にどうかと聞かれたけれど、兎に角私はひたすら死んだように眠りたい気分だったので、丁重にお断りした。
さっさと入浴を済ませ、奥様と母さんに到着したと云う旨のメールを送信する。
後はもういいや……、なんて思いながら、とりあえずベッドに倒れ込んだ。
……眠い。
どうしようもなく眠い。
湧き出てくる眠気に抗う事無く瞼も閉じると、何時の間にか私は寝てしまっていた。
目が覚めると、自分が電気をつけたまま寝てしまっていたことに気付く。
時刻は朝の7時。
執事だった頃に比べれば、かなり健康に良い睡眠時間だ。
とりあえず朝食を食べようと思い、着替えてカードキーを手に持ち、部屋の外に出る……と、何となく見覚えのある人が向こう側の扉から出てきた。
……嗚呼、昨日のカップルの彼氏さんの方だ。
ニコッと微笑まれたので、一応会釈する。
それにしてもかなり印象に残る容姿だな……。
包帯巻いてるし全身真っ黒だし、葬式帰りかよって突っ込みたくなるような服装してるけど、もしかして昨日本当に葬式だったとか……？
『……』
とりあえずエレベーターに乗って、2階へ移動する。
すると、乗り合わせた例の彼氏さんに話しかけられた。
｢此方は初めてで？｣
『え……えぇ、初めてです。ずっとアメリカに住んでいて』
｢そうなんですね。旅行ですか？｣
『いえ、これから日本の国籍を取って住むつもりでして』
｢へぇ！ 良いですね。日本は治安も良く住みやすい国ですから｣
『……』
……治安が良い？
あんな物騒な名前の会社があるのに？
……と、思わず聞き返したくなった。
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珀惺(プロフ) - 水ガラスさん» ありがとうございます！！執事中の主人公は格好よく書きたかったので、そう言って頂けて嬉しいです……！ (2022年9月23日 4時) (
レス) id: f325ea4e61 (このIDを非表示/違反報告)
水ガラス - すごい……。面白いです！執事と聞いてどんな感じのだろうかと思っていたら、主人公のお仕事具合がかっこよくてびっくりしました。ぜひ主人公の幸せへの今世を応援したいです！ (2022年9月23日 2時) (レス) id: 27a6582a0d (このIDを非表示/違反報告)
珀惺(プロフ) - クロノトさん» ありがとうございます……！これからもそう言って頂けるよう、頑張って投稿していきたいと思います！ (2022年9月22日 6時) (レス) id: abe696b439 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 神作品キタコレ！！ (2022年9月21日 21時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：珀惺 | 作成日時：2022年3月30日 22時
