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17.幸運 ページ19

地下室を探して約一分。


『……はは……』


乾いた笑みを浮かべる私。

その目前には、地下室用の空気調節コントローラー。


『一瞬で見つけてしまった……』


つい先程、物置を調べていたら、壁についた淡い光を発する何かが見えたのだ。

で、よく見たら、“地下室用空調コントローラー”って書いてあるものだから、あるじゃん地下室!って物置の床を漁ったら、なんと何時の間にか地下室への扉を踏んでいたのである。


今思えばかなり奇跡だ。


まぁ見つかって良かったな〜、なんて思いながら、地下室の酸素濃度を躊躇無く5%まで低下させる。

すみませんね狙撃手さん。

ちょっと酸欠で失神しておいてください。


『……こんなものかな』


少し待つと、コントローラーからブザー音が鳴った。設定した酸素濃度になったようだ。

それから再度、酸素濃度を通常に戻す。


犯人が地下にいるという確証は無いが、念には念だ。


人間は確か、酸素濃度が6%以下になると数回の喘ぎで即失神に陥る筈だ。其の儘放置すると死に至るが、すぐに戻せば命に別状は無いだろう……多分。否、ヤバいか……?


まぁ大丈夫だろうと、とっとと思考を切りあげると、スラックスのポケットから無線を取り出し、先程のメイドさんに連絡を繋げる。


『……此方コハル。聞こえますか、どうぞ』

《了解、コハルさん。聞こえます。どうぞ》

『了解、用件を告げます。物置にて地下室を発見。一時的に酸素濃度を下げました。完全に酸素が元に戻り次第、突入する心算です。どうぞ』

《了解。今すぐ其方へ向かいます。以上です》



無線が切れると、それから間も無い内に、他の使用人さん達が此処にやって来る。


「こんな所に地下室への入口があるなんて……」

「流石です。よく見つけましたね」

『まぁ、偶々です。私も真逆こんな所にあるとは思いませんでしたから』


そう返事をしながら、地下室の扉の鍵を物置にあったヘアピンで開ける。

それから少しすると、再びコントローラーからブザー音が鳴った。

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珀惺(プロフ) - 水ガラスさん» ありがとうございます!!執事中の主人公は格好よく書きたかったので、そう言って頂けて嬉しいです……! (2022年9月23日 4時) (レス) id: f325ea4e61 (このIDを非表示/違反報告)
水ガラス - すごい……。面白いです!執事と聞いてどんな感じのだろうかと思っていたら、主人公のお仕事具合がかっこよくてびっくりしました。ぜひ主人公の幸せへの今世を応援したいです! (2022年9月23日 2時) (レス) id: 27a6582a0d (このIDを非表示/違反報告)
珀惺(プロフ) - クロノトさん» ありがとうございます……!これからもそう言って頂けるよう、頑張って投稿していきたいと思います! (2022年9月22日 6時) (レス) id: abe696b439 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 神作品キタコレ!! (2022年9月21日 21時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珀惺 | 作成日時:2022年3月30日 22時

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