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16.捜索 ページ18

上から順に、二階、そして一階。

ありとあらゆる部屋を探してみたものの、例の犯人は一向に見つからない。

途中で他の使用人さん達と合流したものの、彼らも何も見ていないと云う。


「万事休す、か……」


一人の執事がそう云った。

他の使用人さんも諦めたような表情をしている。


……仕方が無い。

かなり時間をかけて探しても見つからないのだから、もう逃げられたと思うのが筋だろう。


私だってそんなのは分かっている。

でも、それでも、私は…………


『……っ』


「……あ!」


自分の無力さに唇を噛み締めていると、そういえば、とメイドさんが話し始めた。


「この離れって地下室とかありませんでした?」

『……え? 地下室?』


えぇ、とメイドさんが頷いた。


「我々メイドも、執事さん達と同じように派遣されて此処に仕えている者ばかりですから、矢張り思う所がありまして……」


急に何の話だろうと首を傾げていると、メイドさんがほら、と話を紡ぐ。


「……フィッツジェラルド家(此処)って、他の御邸宅に比べると遥かに設備と云う設備が充実していると思いませんか? 例えば、屋内プール然り、ダンスホール然り……」


「「「……確かに!」」」

『えっ……えぇ?』


……何故だろう、分からない……。

何で皆頷いてるの……?


皆納得しているのに、私一人首を傾げている謎の状況。

そんな状況にいち早く気付いたメイドさんが呆れたように私を見た。


「コハルさんはきっと、会社に就職して初めて派遣されたのがこの御邸宅だったから分からないのですわ。言っておきますが、フィッツジェラルド家(此処)はかなり設備が充実しておりますからね。他の御邸宅では有り得ません」

『そっ……そうなんですね』

「えぇ。ですから、話を戻しますと、離れに地下室が無いのは可笑しいのです。実際、母屋には地下二階程御座いますし」

「地下室のわりにはかなり広いですものねえ」

「確かに、離れに地下室が無いとは思えないな……」


他の使用人達が口々にそう云っていく。

そこまで言われると、私としても、この離れに地下室が無いのは違和感を感じざるを得ない。


『……成程、分かりました。そう云うことでしたら、地下室を探してみましょうか』

「「「はい!」」」


地下室捜索、開始である。

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珀惺(プロフ) - 水ガラスさん» ありがとうございます!!執事中の主人公は格好よく書きたかったので、そう言って頂けて嬉しいです……! (2022年9月23日 4時) (レス) id: f325ea4e61 (このIDを非表示/違反報告)
水ガラス - すごい……。面白いです!執事と聞いてどんな感じのだろうかと思っていたら、主人公のお仕事具合がかっこよくてびっくりしました。ぜひ主人公の幸せへの今世を応援したいです! (2022年9月23日 2時) (レス) id: 27a6582a0d (このIDを非表示/違反報告)
珀惺(プロフ) - クロノトさん» ありがとうございます……!これからもそう言って頂けるよう、頑張って投稿していきたいと思います! (2022年9月22日 6時) (レス) id: abe696b439 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - 神作品キタコレ!! (2022年9月21日 21時) (レス) id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:珀惺 | 作成日時:2022年3月30日 22時

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