この景色は忘れない。2度と。 ページ10
イレブンSide
虫はカミュが追い払ってくれた。僕もAも涙目で、カミュがしっかりしてくれよ勇者様、と苦笑いした。
そうして密林を出たそこは、見覚えのある草原だった。
イレブン「みっ南にイシの村があるんだ!!寄っていってもいいかな!?」
A「お兄ちゃんの故郷ね、いいですかカミュさん?」
カミュ「勿論だ」
僕は軽い足取りでイシの村へと向かった。ついこの前旅立ったばかりなのに、とても久しぶりに感じられた。
早すぎて、エマはきっとびっくりしちゃうんだろうなぁ。
そんなことを考えながら、イシの村に入っていった。
そこは、
A「…そんな…。」
焼け野原だった。家の残骸が物悲しく残っていて、花は焼け枯れ、水車はボロボロの木片と化していた。
そこには、エマもルキもペルラ母さんも、誰もいやしなかった。
カミュ「…イレブン、辛いのは分かる。でも、ここで踏みとどまっちゃいけない。俺たちは、前へ進むしかないんだ。
くそ、どうして…」
A「なんて事なの、お兄ちゃんの、故郷が…!誰が、誰がこんなこと!!」
カミュ「恐らくデルカダールの奴らの仕業だ。勇者を育てた村ってだけでこの仕打ちかよ…!!!」
何で、何でこんな目に遭わなくちゃいけないの?
僕が、勇者だから、エマを、ペルラ母さんを、みんなを…
イレブン「…行こう二人とも。」
何故か涙は出なかった。心の中で、黒い、ドロドロした感情が悲しみに勝って渦巻いている。
何が、勇者だよ。
世界も何も、家族たちすら救えてないじゃないか。
A「…お兄ちゃん、まって。あそこ」
Aが指さしたのは村一番の大樹の下で淡く光を放つ大樹の根だった。
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作者名:( ˙-˙ ) | 作成日時:2018年1月14日 22時