検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:27,589 hit

2-13 【……なんでだろう…なにが…】 ページ13

(琥珀side)



『…ふ、ぐぅ…ッ』


ボクは無我夢中であそこへ向かった。


素足で、雨のふる中庭を突っ切って行く。


ぺたぺたと足を踏み出す度に、足裏にひんやりとした泥の冷たさを感じた。







『う、うわぁあぁぁぁん…ッ』


どさ、とボクは__自室である離れに飛び込む。


わかっていた。わかっていたんだ。


ボクとみんなは、“違っていた”。



みんなは、ボクみたいに指が六本もない。
みんなは、ボクみたいに角がない。
みんなは、ボクみたいに術は使えない。
みんなは、ボクみたいに翼をもっていない。



『こんなのが、こんなのがあるから…ッ』


ボクは背にある翼をブチリと引っ張る。


烏みたいな羽が、数枚千切れてヒラリと落ちた。



痛い。

心が。身体が。



怖い。

周りと違うことが。日に日に増えて行く記憶が。



ある晩からだった。


悪い夢を見た。


みんなに似ているみんなと笑う夢。でも最後には、みんな嘘だったかのように消えちゃう夢。

毎日毎日、みんなに似ているみんなの記憶が増えて行く。

確定して死んでいるより、生きている希望があるのに居場所がわからない方が、ボクは恐ろしかった。



ねぇ。


ボクは、ボクは何を望んでいたの?


頭の中がこんがらがる。







…そうだ。


……そうなんだ。




ボクが一番望んだのは…



【『理解者だ…』】

2-14 【じぶんを、見つめて。】→←2-12 【…だいきらいだ。すなおになれないじぶんが。】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
122人がお気に入り
設定タグ:刀剣乱舞 , 子育て , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:神鬼琥珀 | 作成日時:2017年1月2日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。