【第五十九話】過去の思匕出五 ページ12
俺たちはどしゃ降りの中、傘も差さず外に出た。そしてたどり着いたのは、天気の良い日によくお茶会をしていたガーデンテラスだった。
俺と団長は向き合い会話を始めた。
「それで、話とは...」
「...俺」
『...俺、ギルドを辞めたいんだ___』
俺は団長の顔を見るのが怖くて下を向いていた。
だが、顔を見づとも驚いているのだということは分かった。
「...何故だ」
「俺は、確かに団長に拾われて良かったって思ってるよ。
モンゴメリとのお茶会は楽しいし、
ジョンやトウェインとは同年代で同性だから話が合う、
メルヴィルさんも時々俺に白鯨を見せては励まし楽しませてくれた。
オルコットさんの貸してくれる本は面白いし、
ラヴクラフトも顔には出ないけど色んなことを教えてくれた
ミッチェルさんとホーソーンさんも...時々意地悪してくるけど、とっても優しくしてくれた
ポオさんも、世界という大きな物語を教えてくれた...」
本当、皆には感謝してもしきれない。
こんな外の国から来た人間に、ここまで接してくれるなんて...。
「だから...もうこれ以上、皆を心配させたくないから.....俺は、ギルドを抜ける___!!!」
俺は自らの頭に拳銃を突き立てた。異能の特殊BB弾が入っている。
「真逆...『異能で異能を消す』つもりか...?」
「そうだよ...記憶を消せないなら、『閉じ込めればいい』
俺の異能力はそれが出来る...!」
「だが、そんなことしても俺が目の前にいたらどうする?お前は嫌でもまた記憶を思い出す。
それに仮にここから逃げれたとしても、その先どうする?パスポートはあるが金はない」
「そして、これは契約破棄と同じことだ。親への援助金も届かなくなるぞ。
それでも良いのか?」
団長は次々と俺に脅しを掛けていく。
だがそんなこと把握済みだ。
「...俺はギルドを抜ける。だから、親への援助金ももう送らなくていい。
それに今言ったよね、これは契約破棄と同じだって...」
団長は何かにハッと気付いた様な顔をした、だがもう遅い。
「だったら、俺が此処に居る理由も無くなる!
俺は安心して、地獄に堕ちれるって訳さ__!!」
「よせ、止めろ!!」
俺はそう叫び、柵から川に身を投げた。
ガーデンテラスの後ろは、海に続く川が流れていたから。
だがその柵から川の高さは計り知れない距離だ。
最悪落ちてる途中で木に刺さる可能性もあるが、それでも構わなかった。
もう、皆に会えないのなら...それで。
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星月 菜兎(プロフ) - アメ子さん» お返事ありがとうございます!!楽しみにしています!!更新頑張ってください!! (2016年11月18日 23時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - 星月 菜兎さん» 両方のエンドですね…(; ・`д・´)ゴクリ ではお話が終わり番外編が出来次第、片方のエンドを製作してみようと思います!リクエストありがとうございます!(≧∇≦) (2016年11月18日 7時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
星月 菜兎(プロフ) - コメント失礼します!!ハッピーエンドも見てみたいですがバッドエンドも見てみたいです!!ぜひお時間ありましたらどちらも書いてください!!わがまますみません!! (2016年11月17日 1時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - ゆずかさん» 3周もリピートされているとは…!大好きだと言ってもらえて嬉しいです、これからと頑張ります!!ヽ(。・ω・。)ノ (2016年11月15日 21時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - 1ヶ月半ほど前から前作を読み始め、最近やっと追いつきました!これからどうなるんだろう、とワクワクしながら3周ほど読み直しています。何回読んでも飽きなくて面白くて大好きです! (2016年11月15日 20時) (レス) id: 6d28a617a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アメ子 | 作成日時:2016年9月16日 19時