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side.ユーヤ
可愛いナリで毒舌なんだから…
「みんな元気でいたかい?」
執務後自室に招き入れ、改めて問い掛けた。
「まぁね。相変わらずリョースケもバカだけど」
「いやいや」そう言えるのお前くらいだよ。
苦笑いしながら、ポットを翳して見せる。
「美味しいお菓子とお茶を用意するけど、どう?」
「いいね」
妖精が床に向かい、軽やかに後方宙返りを決めると。
そこに濡れ羽色の黒髪、黒水晶の瞳も艶やかな若者が現れた。
極彩色の容姿が多い一族には珍しい色だけれど、この子に合っていると俺は思ってる。
新鮮な果物の香りを移した紅茶を注ぎ、皿には砕いた木の実入りの焼き菓子。
好物を並べたテーブルに、黒水晶のようなユーリの瞳が和らいだ。
「いい心掛けじゃないか」
「そりゃどうも。どうぞ召し上がれ」
「もちろんだよ。ああいい香り。ねぇ。…ホントはね、あまり良くないんだって」
それは冒頭の問い掛けへの答え。
「良くない?」
鸚鵡返しすれば、カップを傾けながら神妙に頷かれる。
「
「それはそろそろ暑い時期だから…」
「じゃ、ないんだよ。…ユーヤ」
美味しそうな焼き菓子に手を付けず、真っ直ぐ見つめられて。
「知ってるでしょ。僕ら妖精族は、からかって遊ぶことはしても嘘はつかない」
「それは…」
息を詰めた俺に追い打ちが掛かる。
「
「…ダイキくんとも話したの?」
コクリと頷いて、妖精らしからぬ荒々さでクッキーを噛み砕いたユーリは、紅茶を一気飲みして俯いてしまう。
「ユ…」
「八つ裂きにしても足らないあいつら…」
「ユーリ…」
「幸せな
聡明な
ユーリの小さな頭を抱え込んであやせば、憎まれ口も叩けない肩が震える。
「一刻も早く、
「ユーヤっ…」
俺の呟きに不吉を感じ取ったユーリが、頭を上げる。
「お前たちが感じるなら…当事者に判らない筈はない。そうだね?」
息を飲むユーリが更にしがみついてくる。
我々が動ければ少しは効率も上がるだろうが、現状イノオくんに託すしかない。
もどかしさだけが募る…。
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夏夢(プロフ) - ましろさん» ユウトくん復活しました✨ここから怒涛の展開に…持っていけるか作者の腕次第…(イヤすぎるハードル😂)がんばりますー✊ (4月19日 12時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - 黄色いうさぎさん» こんにちは😃ありがとうございます😊この先彼らの運命がどうなるのか、頑張って書いていきますのでどうか最後まで見届けてやってくださいませ✨🙏 (4月19日 12時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 一気にお話が動きましたねー!まだまだ謎いっぱいですが、頼もしい仲間が勢揃いでわくわくしながら続きを待ってますー😆✨ (4月19日 8時) (レス) @page37 id: f14529ed1c (このIDを非表示/違反報告)
黄色いうさぎ(プロフ) - こんばんわ、更新ありがとうございました🙇早速読ませて頂きました。黄色さん探しに行けるかな?けど青さんはどうなるの??ワクワクしながらゆっくりと続きを楽しみにしてます。 (4月18日 22時) (レス) @page37 id: ef1652ec47 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - けーままさん» けーままさん一気読みお疲れさまでした🙂ありがとうございます😊早めに更新がんばりまーす😅✊ (4月11日 22時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年9月26日 8時