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朧な春を過ぎ、生命が躍動する緑濃い季節が巡る頃―――



side.ユーヤ


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印を押す手が止まったままの、憂いを帯びた横顔に呼び掛けた。
ボンヤリとしてしまう気持ちは痛いほど判るが、そうボケて貰っても困る。

「そろそろ本日の謁見に」

「ああ…神官(ユーヤ)か」

今しがた俺に気付いたような反応はスルーして、彼が眺めていた窓の外へと視線を倣う。

「暑さが増してきましたゆえ、彼も間もなくお戻りになりましょう。ですから…」

「わーかった。わかったから何時もみたいに話して」

俺が改まった口調になると、途端にお手上げのコー……いえ、ヤブ様(・・・)。可愛いと思うのは秘密。

「まったく…このぼんやり具合。イノオくんに見せてあげたいよ」

口調をくだけさせれば、ふんにゃりと笑う。

「うるせ。…報らせはまだ来ないよな」

「残念ながらね…ほら、サクサク済ませて。でないとお休みあげられないからね?」

「へいへい」

渋々書類に手を伸ばす彼に苦笑して、開け放たれた窓からもう一度外を見やった。

緑…濃くなってきたな。日差しも一段と強くなってる。
そろそろイノオくんから手紙が届くかな。
あの身体は、暑すぎても寒すぎても動けなくなる…。
本人の性質を受け継いでるのかな?

(『イノオくん』…か)

本当なら今頃、何もかも溶かす勢いで幸せだった筈なのに…。

(ヤブくん…いえ、『王』)

貴方をそう呼べなくなる時が、いずれは来る。

その時この世界は、失うものの大きさで哀しみに溢れてしまうだろう…。
もちろん私も…。

「ぁあー!それにしても多すぎだろっ!」

「文句言わないの」

ごく自然に切り返し、溜め息を呆れた振りで逃がした。

(憂いが移ったかな?)

気を取り直し処理済みの書類を整理していれば、バサバサと無遠慮な羽音を耳が捉える。

「どうやら来たようですよ」


お待ちかねのものが。

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夏夢(プロフ) - ましろさん» ユウトくん復活しました✨ここから怒涛の展開に…持っていけるか作者の腕次第…(イヤすぎるハードル😂)がんばりますー✊ (4月19日 12時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - 黄色いうさぎさん» こんにちは😃ありがとうございます😊この先彼らの運命がどうなるのか、頑張って書いていきますのでどうか最後まで見届けてやってくださいませ✨🙏 (4月19日 12時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 一気にお話が動きましたねー!まだまだ謎いっぱいですが、頼もしい仲間が勢揃いでわくわくしながら続きを待ってますー😆✨ (4月19日 8時) (レス) @page37 id: f14529ed1c (このIDを非表示/違反報告)
黄色いうさぎ(プロフ) - こんばんわ、更新ありがとうございました🙇早速読ませて頂きました。黄色さん探しに行けるかな?けど青さんはどうなるの??ワクワクしながらゆっくりと続きを楽しみにしてます。  (4月18日 22時) (レス) @page37 id: ef1652ec47 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - けーままさん» けーままさん一気読みお疲れさまでした🙂ありがとうございます😊早めに更新がんばりまーす😅✊ (4月11日 22時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年9月26日 8時

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