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yt.
『ヤブ』はね、『コータ』って言うの。この世界の『王さま』なんだって。
いのちゃんは王宮へ帰ってくるたび、大きな広間で彼と挨拶を交わすんだ。
良く判んないけど、二人には面倒臭いことこの上ないみたいだよ。
理由は…
あ、いけない始まってる。
「んぁ…ヤブ待って…まだ旅の汚れも落としてなぃ…」
「待てるわけねぇ。お前を目の前にしてるのに」
「だめ…っあ…ぁあんっ」
わかった?
早くこうしたいからだって。
まっったくもぉ。
僕をテーブルに移すくらいしてからにしてくれない?床に置かれた荷物の上からじゃ、良く見えないでしょっ。
何故って?そりゃもちろん。
「ヤブ、ヤブぅ…もっとぉ…!」
「ひゃああんっ…!ゃ、それすきぃ…!」
ゾクゾクするようないのちゃんの声を、より間近で聞きたいに決まってますっ。
「ぁっあ…ぁあんっ…、…ゃぁあぁ…!」
ちょっと間があいてから、いのちゃんが大きく鳴くのはコータが何か囁いてるせい。
「くっ……イノオっ…」
「ヤブぅ…!」
はぅぁあ…グッとくるね!
でもいのちゃんは『イノオ』じゃないよ。それにコータのことだって、いのちゃんだけが『ヤブ』って呼ぶんだ。
どうしてなんだろう。
お、そろそろピークかなっ。いのちゃんの声が一際甘くなってきた。
いのちゃんの悲鳴が長く響いて、
静かになった。
「“ユウト”」
はいっ。
「そんな顔するな。すぐ返してやるから」
布を巻き付けたいのちゃんを抱き上げて、コータは僕に言う。
ぇええ、僕顔に出てた?
嫌だな恥ずかしい。
…じゃなくて。
僕人形だよ?
自分で言うのもなんだけど、表情出ないでしょ。どうしてわかるの?
するとコータの指が、木で出来た僕の頬を器用に撫でて行くから。
『いのちゃん落とさないでよ!』そう言う前に、僕はいつも囚われてしまう。
コータが触れた先から流れてくる、深い…とてもふかい青に。
何時だっていのちゃんを好き勝手してる(多分)くせに、彼の手が僕に触れる度流れてくるのは、深くて濃い…哀しみの色なんだ。
『ぁれ…?』
垣間見えた、なにか。
捉える前に消えてしまったけれど。
でも色だけは判った。
青だ。
夕闇が迫った山の裾野のような、群青色。
煙たなびく建物、その手前に佇みこちらに手を振る影は…。
あれはもしかして…………
いのちゃん……なの……?
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夏夢(プロフ) - ましろさん» ユウトくん復活しました✨ここから怒涛の展開に…持っていけるか作者の腕次第…(イヤすぎるハードル😂)がんばりますー✊ (4月19日 12時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - 黄色いうさぎさん» こんにちは😃ありがとうございます😊この先彼らの運命がどうなるのか、頑張って書いていきますのでどうか最後まで見届けてやってくださいませ✨🙏 (4月19日 12時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 一気にお話が動きましたねー!まだまだ謎いっぱいですが、頼もしい仲間が勢揃いでわくわくしながら続きを待ってますー😆✨ (4月19日 8時) (レス) @page37 id: f14529ed1c (このIDを非表示/違反報告)
黄色いうさぎ(プロフ) - こんばんわ、更新ありがとうございました🙇早速読ませて頂きました。黄色さん探しに行けるかな?けど青さんはどうなるの??ワクワクしながらゆっくりと続きを楽しみにしてます。 (4月18日 22時) (レス) @page37 id: ef1652ec47 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - けーままさん» けーままさん一気読みお疲れさまでした🙂ありがとうございます😊早めに更新がんばりまーす😅✊ (4月11日 22時) (レス) id: 5f3d433f1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年9月26日 8時