八 ページ8
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「ほーら、慧。いつもの甘いのだよ?」
光先生が湯呑みを傾けるのに、慧さんは嫌々をして拒んでる。
「弱ったねぇ?飲まないと下がらない」
どうしよう。
大さんもいるし、俺は辞していいのだろうか。
「大さん」
「ああ、ありがとよ雄也。仕事に戻っていいよ」
先回りして言われ、軽く頭を下げ戻ろうとしたら。
「慧っ、暴れないで」
光先生の慌て声に振り向けば、彼を押し退けようともがく慧さん。
「雄也がいいの?わかったから大人しくしておくれ。…雄也」
ぇ…。来いって?
「失礼します」
初めて踏み入れた慧さんの部屋。
裸足には妙に擽ったい、柔らかい敷物の上を数歩行けば伸ばされる、夜着から覗く細い腕を取った。
「慧さん…ほら、お薬飲みましょう?」
うるんでいた目からは、また新しい泪が零れ落ちる。
ああ、こんな顔で見上げられたら強くは言えないけれど。
受け取った湯呑みを、そっと口元に運んでみた。
「ね?楽になりますから…」
(ぅ、ゎ…)
上目遣いだった瞳を伏せて、細い指先が絡んでくる。
俺の手ごと湯呑みを持ち、ゆっくり口元に運ぶ様が…こんなにも艶めかしい。
熱に浮いた紅いくちびる…こくり、こくりと上下する細い喉を見ていられず。
くっ、と無意識に息を詰めていた。
ぷは、と息を吐く慧さんに、はたと我に返る。
俺としたことが、何たる不謹慎な。
相手は病人だというのに。
「よしよし、全部飲めたね。じゃあ横になろうな?」
光さんが、俺から慧さんを受け取ろうと手を伸ばした…のだけど。
「慧?」
「慧さん?」
彼はまた、俺の懐に潜り込んでしまう。
「おやおや、坊ちゃんは雄也じゃないと嫌なんだねぇ?」
大さんが笑って頭を撫でる。そんな呑気な…。
俺だって付いててやりたいのは山々だけど、いたたまれないのも事実で……。
「えー、慧さん?」
呼び掛けに、素直に顔を上げてくる様に目眩を覚える。己の立場を忘れるな
「俺はまだ、やることが残ってますから」
いちいち可愛いけど耐えろ。
「仕事を終わらせたら、お側にいる許可を頂きます。それまでここで待てますか?」
泪と熱で赤くなった目で、暫く俺を見つめ。
華奢な首が漸く縦に動いた。
よかった…頷いてくれて。
「約束しましたよ。…さぁ、横になりましょう」
今度は大人しく横たわる彼に、俺を含めその場にいた者がほっと胸を撫で下ろしたのは、言うまでもなかった。
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時