六 ページ6
宏太.
庭で遊ぶ二人の様子を耳で拾いつつ、本に目を落とすものの。
先頃父に言われた事がふと過ぎり、そのまま物思いに耽ってしまう。
『宏太。お前にここを継いで貰うに当たり、一つ課題を与えるぞっ』
楽しそうに言いやがって全く…あの発想力はどこから来るのか。
我が父ながら型に嵌まらないお人だ。
『お前が継ぐ暁には、今居る者達を解雇するつもりでおる』
『は？』
『いいか宏太。これからは人材の時代だ。いくら環境を整えても、人が悪ければ全て台無し。身分問わず、お前の目に適う者を育て、共に成長せねばならん』
無茶苦茶言うよな。いくら跡取りと言え、経験値のない若造の目になに期待してんだ。
成長どころか共倒れ必須だろ、そんな博打みたいなことやっていいのかよ。
『なぁに、心配は要らんよ。わしの目が黒いうちは、簡単に跡を取らせてなんてやらんしね』
なんだと？
『とくと覚えておけよ？』
「親父めぇ…」
改めて腹立ってきた。
あの人を食った言い方。流石親子、じーさんそっくりでやんの。
「やってやろうじゃねぇか」
そして必ず、お前に任せると親父の口から言わせてみせる…！そん時ゃ未来の安泰に泣いて喜べよ親父！
「…ん？」
慧のやつ…また何かやらかしたか？
嗜める雄也の声を、最近聞かない日はない。
「雄也、今日は何だぁ？」
庭に出ながら雄也を呼べば、彼の周りに散らかった落ち葉と、そっぽを向く慧。
…わっかりやす。
『
ゆっくり歩いて行くと、両手を広げて待っている弟。
「はい、抱っこはお預け〜」
『なんでっ！』
「ごめんなさい、は？」
『うっ…』
「お仕事の邪魔してごめんなさい、は？」
『ぅ〜』
「…慧？」
『………べーっ、だ！』
「っ、こらっ」
“言う”が早いか、雄也の背中に回り込む慧。
雄也も笑ってるし！お前の為に説教してんのよ？
「さぁ、そろそろお部屋にお入りください。…風も出てまいりましたから」
後半の言葉を向けられ頷いた。慧の身体に冷たい風は良くない。
「すまないな、仕事を増やして」
散らかった落ち葉を見て言えば、いいえ、と緩やかに首が振られる。
「楽しかったですか？」
しがみついたままの慧に優しく聞く雄也。
『うんっ！』
迷いなく縦に振られた首が、じっと上目遣いになる。
『ごめんなさい。雄也』
「いいんですよ。さ、お戻りを」
雄也に頷き、背中を向けた。
今度こそ落ち葉掃きに集中する音が聞こえる。
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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます！焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす！慧坊っちゃんも動くかなー？ﾋｬﾋｬﾋｬ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…！慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…！？続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと？仕掛けたかったですと？？なぁんてこと！！見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい！さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて？色々バレちゃったシー。味方が増えた！ (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー！そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏夢
| 作成日時：2016年10月17日 11時
