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四十二 ページ41

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「雄也、これ坊っちゃんにあげとくれ」

平謝りで薪を保管所に入れてると、お清さんが茶色の袋を差し出してきた。

「使いに出たら飴売りがいてね、覗いたらこれが喉にいいって言うからさ」

年の瀬は路地売りの店が出て、通りも賑やかになる。

「坊っちゃんこの時期風邪を引きやすいんだけど、今年はあんたがいるから安心だよ」
「いえ、そんなことは」

言えねぇ。毎回戦ってるなんて。
いやいや、何と戦うってんだよ。

「寂しいと思うさ。宏太坊っちゃんとこにも余り行かなくなっただろ?」
「そう言えば…」

お二人が祝言を挙げてから、慧さんは一人でいることも増えた。
昼間、光先生は実家に行っているし、宏太さんは店に出たり年末の挨拶回りに出たりと忙しい。
慧さんが店の様子を記録する『仕事』は、これから先の参考にもなるからと続けているけれど。

「夕餉の時はどうしてるんですか」
「皆さんで召し上がるよ。そういや食べ終わって立つのも早いねぇ」
「そうなんですか」
「ああ。大旦那様に甘えもしないし」

そこは旦那様にじゃないんだ…。

「あんたが支えておあげな」
「俺…ですか」
「そう。ほら、それ持ってっとくれ」

手の中の袋を顎でしゃくり、お清さんは台所に戻ってく。

なんかなぁ…。
勝てねぇな。



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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時

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