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四十一 ページ40

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新しい年に向け、いよいよ忙しなくなってきた。

色々な事情で家に戻らない者はここでのんびりと…って訳にはいかないよな。誰かしらが家事(いえごと)はやらなきゃならないし。

でもまぁ…お休みを頂けるだけありがたいよな。
正月休みだなんて初めてだ。どうやって過ごそうか。

焚き付け用の薪を取りに来ながら、ふと思い出し足を伸ばす。

聳える白壁の蔵。明かり取りの窓は遥か上方にあって、小さい。
子供でも侵入出来ないか。

カサリ。

「っ?」

人の気配に振り返れば。

「慧さん、どうして…俺の姿が見えたから?」

身振り手振りの説明を言葉にすればコクリコクリと頷いて見せる。

「そのままだと風邪を引きますよ、ああ、薪を取りに来たついでに確認をしにね」

きょとりとする彼に説明すると、納得したとばかりにまたコクリコクリ。

『ゆうやあのね』
「はい?」
『…なんでも、ない』

どうしたんだろう。
近頃慧さんは、何かを言い掛けては止めることが多くなった。
そういや夜、俺の布団に潜り込んでくるのが増えたかな。
………もうさ、慣れざるを得ないんだよっ。
毎回心臓が小躍りするけど、それも込みで慣れた……ことにしとく。

「戻りましょう、ここは寒いです」
『一人で平気。仕事して』
「え?…あ!」

薪っ!

本来の目的を思い出し泡を食う。

『早くいって』
「すみません慧さんっ、失礼しますっ」

お辞儀をして慌てて裏へ走った。

だから俺は知らない。

蔵を見上げ歩き出した慧さんを、更に見ていた作造のこと。



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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時

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