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三十 ページ29

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それとなく渉さんたちに聞いてみたところ、『蔵に保管してある薬草が心持ち減っているような気がする』と言うことらしい。
やってもないのに泥棒扱いされた、苦い過去を思い出す。

『気がする』か。
それって厄介だ。
でも目加減で判るなら、盗っ人がいるってことに…。

「そういえば…」

窓が開いていた晩、蔵の近くで灯りらしきものを見た。それこそ気のせいかと思ったけど、鬼火でもあるまいし…。



「蔵の中ぁ?」
「しーっ、大さん小声で」
「ぉ、おお。蔵がどうした?」

仕事の合間に大さんを呼び止めた。宏太さんが戻ってきても慧さんの記録は続いていて、紙束の保管室になってる診察室へ連れ込む。

「ああ、中は薬草がびっしりだぜ。種類毎に分けて纏めてあるし」
「誰でも判るようになってるんですか」
「多分。俺はあんま入らねぇけど」
「鍵は?」
「普段は宏光さんが管理してるよ、ほれ、机の引き出しに入ってるから」
「そうなんですか」

てことは、帳場が無人になれば、鍵を持ち出すことも可能か。

「何で?」
「いえ、掃除をしていて気になって」
「ははは!だよな何が入ってんのか思うよな!」
「ええ」
「そんだけ?」
「ぇ、」

くりんとした目を、真っ直ぐ向けられ詰まった。
普段天真爛漫を絵に描いたようなこの人は、若干低い身長差を利用し俺を下からねめつけてくる。

「何かあるんだろ」

そういえば歳上だったな。勘も鋭いや。

「お前今失礼なこと考えなかった?」
「いえ別に」

ほら、鋭い。

かい摘まんでわけを話すと、男らしい眉が胡散臭げに寄せられる。

「疑うにゃ早計だと思うけどよ、若旦那様が運んだ荷があるだろ」
「はい」
「お前の言う勘が当たったとして、量が増えてる今は好機じゃないかね」

そうか。
少しくらい減っても判らないかも…。

「俺も気を付けとく。明後日祝言の坊っちゃんにはまだ伏せとこうぜ」
「そうですね」

おめでたいところに水を差したくない。

「でさぁ、協力したら何かくれんの?」
「え」

悪戯っぽく笑って鼻を擦るとか、悪ガキかよ。

「今度の休み、団子五本」
「ぇ、多い。せめて三本」
「四本」
「縁起悪いでしょ、三本で」
「だったら増やせよ!…仕方ねぇなぁ、いいよ三本で」
「…ぇ、あれ?何で奢るって話に?」

にまっと笑う大さん。
…やられたー!

「っははは!断らなかったお前の負けー!よし、休み合わせるからなっ」

ぇええ。
ただ団子食う気満々じゃないですか!


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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時

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