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二十九 ページ28

雄也.


ああもう本当に…。
俺だって野暮をしたいわけじゃないっ。
大さんに教わっといて心底よかった。

曰く、
『慧坊ちゃんはさ、ある意味空気読めないから気を付けて』

それはきっとこういう意味。
部屋中に漂う、非常に微妙な空気を物ともしてないからなぁ。
て言うか、いつの間に俺が慧さんの世話係になってんだ?
本来なら俺がやるべき雑用をしたり、使いに出たり。大さんが楽しそうだし、臨機応変だと定治さんは容認してくれてるけれど。
いいのかなぁ。



まだまだ物足りなさそうな慧さんをどうにかお二人の部屋から戻し、炭の補充をしようと廊下に出てふと。

「そういえば…どうして開いてたんだろう…」

何時だったか、戸が開いたままになっていたのを思い出した。
あの後念のため女中達にも聞いてみたけど、確かに閉めたとお清さんが息巻いてたっけ。

「雄也、そんなとこで何してんだい?」

おっと、噂をすれば。

「お清さん。いや、慧さんの部屋に炭を足そうと思って」
「ああ、それならほら」

手にしたそれに、礼を言って炭入れを取り替えてもらう。

「坊ちゃん大丈夫だったかい?」
「あー、まぁ」
「そうそう!聞いた?」
「はい?」

女の人ってのは、何でこうもころころ話を変えられるんだろ。大分慣れたけど。

手招きされ片耳を近付けると、彼女の口から思ってもみないことが告げられた。

「薬草が減ってる?それ…確かなんですか」
「間違いないよ、お美代が渉らから直接聞いたんだもの。だからね、あんたが何時か言ってた窓のことも、もしかしたら何か関係が」
「お清さん」

シッ、と自分の口に人差し指を翳せば、彼女も慌てて口を閉ざす。

「確証がないうちは噂も控えた方がいいですよ」
「そ、そうだね。お美代にも言っとくよ」
「ええ、お願いします」
「あんたさぁ…」
「はい?」
「いい男だねぇ」
「…そりゃどうも」

しみじみと何を言い出すんだよ。
かぁちゃんほど(多分)歳の違う人に言われてもくすぐってぇわ。

「つれないとこもいいじゃないか。どんだけ女泣かせてきたんだいっ」
「ぅわっ、と」

バーン!と背中を叩かれてつんのめった。
違う意味でなら、奉公先の女に泣かされたけどなっ。
こんなガキにすら色目使うメスギツネが多いったらなかった。
女を掌で転がせるとか、そんな才能があるならとっくにジゴロでもやってら。


.

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夏夢(プロフ) - mikaさん» mikaさまありがとうございます(*≧∀≦)読み返して頂いてるなんて嬉しすぎます!焦れったい展開で申し訳ないですが、もう少しお付き合いくださいませ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» ひかセンセーは周りのことなら敏いのですwそーよね、仕掛けるの見たかったっす!慧坊っちゃんも動くかなー?ヒャヒャヒャ♪ (2019年9月1日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)
mika(プロフ) - このお話が好きすぎて何度も読み返しています…!慧さんと雄也さんの関係もさらに動きそうな予感…!?続きを楽しみにしてます♪ (2019年9月1日 19時) (レス) id: 8f2d116da6 (このIDを非表示/違反報告)
みるみるみるきー(プロフ) - いやぁぁんん。光先生ッタラァー。察しが良すぎるー。そして、、なんですと?仕掛けたかったですと??なぁんてこと!!見たかったぞwwwそして、かわいいヤキモチもいい!さすがコウタさんの選んだ人〜〜。さて?色々バレちゃったシー。味方が増えた! (2019年8月28日 15時) (レス) id: a47283bf22 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - みるみるみるきーさん» 私もびっくりだよゆやさん(笑)一体誰に教わったんだー!そんなテクで落とした坊っちゃん大変にならないといーけど♪うひゃひゃ (2019年8月2日 20時) (レス) id: 6404b316b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏夢 | 作成日時:2016年10月17日 11時

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